※この記事は2021年6月27日にクルマ社会を問い直す会が提出した「交通事故の原因究明に、イベントデータレコーダー等の活用と搭載義務化を求める要望書」の内容をもとにして作成したものです。
(作成者 クルマ社会を問い直す会)
クルマの事故は深刻だが、原因解明の手がかりになる機器があまり搭載されていない
交通事故は、時速100~200kmという高速の出る重さ1t以上の動力機械(自動車)が、本来あるべきでない動きをして起こすものです。衝突時の殺傷力の高さを考えれば、事故の原因解明の手がかりとなる機器が車に搭載されていてしかるべきです。
ところが、年間100万件もの事故が起き続けているにもかかわらず、そうした機器の搭載は不十分です。
最近はドライブレコーダーや、デジタルタコグラフ(トラック、バスなど)を搭載する車が増えており、事故原因解明に役立っていますが、それも搭載していないと、死亡・重傷事故でも正確な速度などは「不明」とされる場合が大半です。
その結果、信憑性の疑わしい加害者の供述が有利となり、被害者が不利・不当を被る場合が少なくありません。
最近は多くのクルマに「イベントデータレコーダー(EDR)」が搭載されている
最近多くの車にはイベントデータレコーダー(EDR)が搭載されています。
このデータを解析すれば事故時の正確な速度や操作状況がわかります。
しかし、現在EDRのデータ解析はごく一部の事故にしか用いられていません。
事故の捜査・原因解明にイベントデータレコーダーの活用を
せめて死亡・重傷事故の場合は、事故車がEDRを搭載しているなら解析を原則とすべきです。
国内ではEDRのデータ解析ができる人がまだ多くはないと聞きますが、官民が協力連携体制をとれば不可能ではないと考えます。
事故原因の正確な解析は、再発防止のためにも必須です。科学の時代にふさわしい科学捜査の導入推進により、一瞬で凶器と化す車の危険から命と体を守るよう、私たちは次のことを要望しています。
- 事故車がイベントデータレコーダー(EDR)を搭載している場合、特に死亡・重傷事故の場合は、EDRのデータを証拠として押収保存し、データ解析を行い、事故原因究明等に役立てることを義務づけ、早急に実施する。
その際、解析結果の正確公正を図るため、第三者機関等の併用も考慮する。 - EDRをすべての車に搭載することを義務づける。
また、データ解析体制を拡充し、データ解析有資格者の増員をはかる。 - すべての車にドライブレコーダーの搭載を義務づける。
また、トラック、バス、タクシー等にはデジタルタコグラフの搭載も義務づける。
事故時はデータを証拠として押収保存し、原因究明に活用する。軽度の負傷事故、ヒヤリハット事故、あおり運転事故などあらゆる事故の解明と再発防止に役立てる。
参考リンク
参考リンク
- 報道発表資料:事故時の車両情報を記録するための国際基準を導入します ~道路運送車両の保安基準等及び保安基準の細目を定める告示等の一部改正について~ – 国土交通省
- 平成22年 第13回 交通事故・調査分析研究発表会 – 交通事故総合分析センター
- 運転記録装置の搭載義務化へ | Reuters