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地方ローカル線をチケットレス化する「えきねっとQチケ」
しかし、Suicaを開発したJR東日本ですら、いまだにSuica未導入の路線を多く抱えている。
いわゆる地方ローカル線に多く、こうした線区では無人駅やワンマン運転などで乾いた雑巾を絞るような省力化が進められているので、Suicaも使えなければ、切符も買えず、車内精算すらできなくなって、乗客は不便を強いられている。
こうしたSuica未導入で無人化が進む地域を含め、JR東日本の全エリアで使えるQRコード乗車システムが開発され、2024年10月より順次、導入が進められている。
今回導入された「えきねっとQチケ」では、紙の切符の替わりにスマートフォンを使うので、乗客がスマートフォンを使っている必要がある。
万人向けとはいかないものの、スマートフォンの普及率が9割[5]にのぼる現代ならではの仕組みだ。
無人駅の多い地方ローカル線では、短距離の利用は整理券を取って乗り、降車時に整理券と現金を乗務員に渡す方式が多い。しかし長距離の旅客には不便がある。例えば磐越東線などの Suica未対応の無人駅から乗車し、郡山で新幹線に乗り換えて福島・仙台へ行くようなときに、従来は整理券を取って乗車し、郡山駅の改札内出札窓口に並んで整理券を出して現金で紙の切符を買う必要があったが、これが1つの「Qチケ」で乗車できるようになった。
「えきねっとQチケ」は2024年10月より福島県以北の同社東北エリアで先行導入され、エリア内の在来線[6]と東北新幹線(郡山~新青森)で使えるようになった。
QRコード対応の自動改札機は2022年12月から自動改札機の老朽取替にあわせて順次導入されていて[7]、2024年10月までに東北新幹線で先行導入されたが、他の地域でも準備は進められており、2025年度下期に東京都23区内と東北新幹線(東京~郡山)で、2026年度末までにJR東日本の全域で展開予定となっている[8]。
紙の切符とほぼ同等の効力[9]をデジタルチケット化したもので、在来線・新幹線の両方を通しで利用でき、画面表示で自動改札機を通過できる特徴がある。
出札窓口や券売機では買えず、同社のオンラインチケット販売サイト「えきねっと」で購入する。スマートフォンアプリと会員登録(無料)が必要といった煩わしさはあるが、ビジネスや帰省・観光などで頻繁に旅行している人にはさして問題にならないだろう。
外国人観光客を含む一時的な利用者には難があるものの、従来の紙の切符も引き続き発売され、大きな駅や空港駅などでは紙の切符を購入できる。
脚注・出典
[5] 総務省「令和5年通信利用動向調査」(2024年6月7日発表)世帯普及率90.6% https://www.soumu. go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html
[6] 山形・秋田新幹線を含む。只見線全線と喜多方以西、郡山・いわき以南は対象外。
[7] QR コードを使用した新たな乗車サービスの導入についてhttps://www.jreast.co.jp/press/2022/20221108_ho03.pdf
[8] Suica エリア外もチケットレスで!東北エリアから「えきねっとQチケ」がはじまります https://www.jreast.co.jp/press/2024/20240711_ho02.pdf
[9] JR東日本以外の他社にまたがる切符は買えない、窓口や券売機では買えない、利用開始後の変更ができない等の制限はある。