■大八木町交差点の改善意義
レポートの冒頭に大八木町交差点の改善に立会い、万感の思いを感じたと記させていただきました。
これは、単に私たちの願いがかなったというだけでなく、この交差点の歩車分離信号化の持つ意味は、つぎに示す群馬県の自転車通学生の命を守る事故防止対策の一助として大きな影響を及ぼすと感じていたからです。
群馬県の事故の特徴
ここで群馬県の交通事故の特徴を見てみます。群馬県の特徴は、交差点での事故が全国で最も多いことです。全国の交差点事故の平均は(58.2%)ですが、群馬県は県別で最も高く74.8%です。また、そのことを反映するかのように、中高生の自転車通学時の1万人当たりの事故件数も例年ダントツの全国一位となっています(図表3)。

図表3 (自転車の安全利用促進委員会、一般社団法人自転車協会)
交差点の自転車事故の特徴
自転車がからむ交通事故では、スマホ運転や歩道を利用する自転車のマナーの悪さや一時停止を怠る自転車など、自転車乗員への批判が多く見受けられます。確かにそれは放置できない重大な問題です。それらについては、自転車乗員への効果的な法令遵守教育の模索、規制や広報の必要性を強く感じます。
しかし、一方で、自転車乗員の死亡事故ニュースを見ると、行政主導の交通ルールを守り危険な車道を走行中に、車からの接触や追突を受け殺傷される理不尽な事故が多く目につきます。また、交差点では、青信号の横断歩道を渡っているにも拘わらず、右左折車に巻き込まれ殺傷される悲惨な事故が後をたちません。中でも憂慮すべきは、交差点における左折巻込み事故です。これは、大型車などトラック系の車両によるものが多く、犠牲者のほとんどが自転車乗員であるという事実です。
図表4は、全日本トラック協会の対人事故のデータで、2024年の交差点事故の死亡・重傷件数です。協会内の車両における事故件数ですが、車種別や歩行者・自転車別の事故の特徴が反映されています。
これによると交差点事故の件数が歩行者103件、自転車132件で自転車の方が件数の多いことがわかります。
特に左折事故では、歩行者10件、自転車78件であり、自転車が巻き込まれる確率が88%に達し歩行者と比べ大きく偏っていることに驚かされます。この数値は、例年大きく変わることがないため、これまで行ってきた双方への注意喚起だけでは解消できない問題として認識する必要があると考えます。

