鉄道は道路と同じくインフラ、公共の資産である
地鉄の事態を受けて立山町の舟橋貴之町長は、昨年6月の町議会にて「鉄道は道路と同じくインフラ、公共の資産である」と表明した。「普段、私たちは、県道や町道を利用する際に、料金を払っているのでしょうか? 繰り返しますが、鉄道は県道と同じく、インフラです。町道にくぼみがあれば、アスファルト補修材で穴埋めし、全体の劣化が激しければ、アスファルトをはがし、最初から舗装し直すように、鉄道も、町道や県道と同じように、修繕や改良を行っていく責務が自治体にあると思います。」と訴えている[26]。
地鉄は沿線住民の生活に欠かせないことはもちろん、立山黒部アルペンルートや宇奈月温泉・黒部峡谷鉄道といった、富山県を代表する知名度の高い観光地へのアクセスを提供している。地方鉄道は国道並みではないかもしれないが、県の経済を支えるインフラとして、主要地方道と同様に県と国がしっかり投資して活用すべきインフラだ。
ところが日本ではいまだに公共交通は事業者の独立採算を原則としているが故に、せっかくの鉄道インフラが充分に活用されず、全国で弱い所から切り捨てられる事態に陥っている。残った線区でも運賃が値上げされ、一方で道路や駐車場の維持負担も満足にしていないクルマ利用者には国策によりガソリン等の燃油に莫大な補助金が出て、さらに国会ではクルマだけを減税する議論が蔓延っている[16]。いい大人が自分さえ良ければ、今さえ良ければいいという態度は相当に目に余る。
鉄道は原則運賃負担で整備し、道路は原則税金で整備するというデュアルスタンダードがまかり通ってきた国策が、鉄軌道や路線バスを廃線に追い込み、残った所でも減便と運賃値上げで利用者は苦しめられている。
公共交通は事業者の独立採算、赤字不採算なら切り捨てか基礎自治体に転嫁という現在の国策は転換し、鉄道も道路と同様に国民経済を支えるインフラとして国や都道府県が責任をもって維持活性化させる必要があるのではなかろうか。
富山県で起きている事態は他人事ではなく、他の都道府県にも当てはまることだろう。
【脚注・出典】
26. 鉄道は県道と同じくインフラ(2024年9月24日掲載) https://www.town.tateyama.toyama.jp/soshikikarasagasu/kikakuseisakuka/hishoseisakukakari/5/1/10533.html

