社会を劇的に変えたクルマとスマホとのアブナイ関係

このマイカーの場合とは大きく異なり、スマホの場合は小学生を含む未成年までが所有し使用するので、クルマでの場合のような一家に一台というのはむしろごく稀で、家族の数だけの複数台というのが一般的と言えそうである。但し、外国では所有・使用に年齢制限を設けるようになった国もあり、その数は増えそうで、私も個人的意見としてその趨勢には賛同したい。

クルマの場合は事故の危険が大きく、実際に 事故により他人を死傷させたり、他人の家屋や店舗などに突っ込んで損壊させることもあり、運転免許のない未成年に車を所有させ、自由に乗り回すような使用をさせることはないが、超小型で軽量のスマホによって他人を死傷させたり物損事故を起こすことは考えにくい。ゆえに以上の危惧が少ないから、未成年者もスマホを所有し両親以上に頻繁に使用する。

しかし、他者へのメールやSNSなどの複数人対象の通信により、意図の有無に関わりなく(子どもたちの間のネットによる虐めや誹謗中傷も多い)他者の心(内面)を大きく傷つけることは少なくなく、社会問題とすらなっている。また、本人自身にも深夜や明け方までの長時間使用により、視神経ばかりでなく、睡眠不足などにより肉体的にも大きくダメージを与えかねず、それが一般化すれば、スマホなど電子機器を日常使用している日本人を含む先進国人やその他の諸国の富裕層の多くが病気体質化し、寿命をかなり縮めることになりはしないだろうか、危惧せざるをえない。

クルマは地球温暖化の主要な要因の一つだけでなく、日常的に事故や大気汚染等で多くの人間を蝕んだり死に至らしめているが、スマホの場合は直接的に他者の肉体を損傷させることはないものの、先に述べたように自己に限っては心身両面、他者に対しては内面に損傷を与える。

最近は複数の死者を出す大規模で普通なら考えにくい交通事故のニュースが増えているように感じられるが、それもスマホの長時間使用による視神経を含む神経全体の摩耗や実質的な睡眠不足などが少なからず影響しているのではないかとは言えないだろうか。

それでもクルマ依存から抜けきれず、少しの距離でもクルマを運転したがり、しかもスマホ依存による視神経を始めとする諸神経系統の損傷や睡眠障害や頭痛の他に倦怠感や吐き気、肩こりなどに悩まされながらもクルマを手放せないドライバーも多いのを計算に入れているかのようにクルマ業界では「自動運転車」の開発にしのぎを削っている。むろんグローバルなIT業界との連携になろう。もし自動運転技術が完璧化すれば、タクシーや物流業界のトラックの運転手も不要になる?(今のところはドライバーの補助機能らしく、やはり運転席には人員が必要らしい)が、これまた「怖っ!」である。

「小さく軽量の機器」であるスマホが「人体をはるかに超える重量の機器」であるクルマの事故を誘発しかねないことを考慮に入れた“文明生活”が望まれるところである。
(山形県山形市在住)