カーフリーデー&モビリティウィークは、毎年会報にてお伝えしているように、過度にマイカーに依存した生活を見直し、環境負荷の少ない安全でにぎわいのあるまちを創出しようという社会啓発活動で、9月に行われています。発祥はヨーロッパ(フランス)で、昨年は世界50カ国、2792の都市で行われました。
日本では、今年は新規参加の福山市を含めて13都市が参加しました。
横浜カーフリーデー2019
会場の様子
問い直す会は以前から横浜カーフリーデーに参加しており、今年も写真パネル展示で参加しました。開催日(9月22日)は雨の予報でしたが、開催時間中はほぼ晴れて暑く、会場の横浜公園から日本大通りにかけて、子ども連れなど多くの人でにぎわいました。会のパネルも道行く人がながめてくれました。
他の交通関連のブースは、例年通りの自転車安全教室、横浜市コミュニティサイクル、バスの死角体験、ユニバーサルデザインタクシーや燃料電池車の試乗、LRT関連などの市民団体の展示などのほか、今年はNASVA(独立行政法人自動車事故対策機構)も出展していました。
また、今年は特別企画として、SDGs(2015年に国連サミットで採択された持続可能な世界を実現するための開発目標)にからめた、子ども向けのクイズや絵本読み聞かせのブースも開設されていました。クルマ依存からの脱却は、持続可能な世界実現のための要ともいえると思います。カーフリーデーはアピールの場として最適だと思いますが、子ども向けブースのため気づかずに過ぎてしまう大人が多かったように感じました。大人に向けてのメッセージアピールがもっとあってもよい気がしました。
ほかに、交通・環境問題とは関連のないブースも多くあり、むしろそちらがにぎわっていた感もあります。
ところで、この日、会場のすぐ近くで、神奈川県警による春の交通安全運動の出陣式が行われていました。交通事故のない安全なまちづくりもカーフリーデーの主旨と深く通じるものですが、カーフリーデー実行委員会への連絡や連携要請などはなかったそうです。警察はカーフリーデーの主旨には関心が全くないのかもしれません。ちょっと寂しい現実です。
カーフリーデー本来の主旨と現実
ヨーロッパにおけるモビリティウィーク&カーフリーデーは、「一週間を通じて、都市交通を切り口とした都市環境の改善や賑わいのあるまちづくりの創出を目的とし、過度に依存した『車の使い方』を市民・行政が一緒に考えていくというもの」で、その中で最終日に行われるカーフリーデーが中心イベントとなり、「都心部において1日マイカーを使わない地区」が創出されます。いわば、交通環境を変えていくための1週間の実証実験といったねらいがあると思われます。
日本では、参加都市も少なく、カーフリーデー当日の、ごく限られた一角でのイベントで終わっている都市が多いようです。その要因の1つとして、参加都市の運営主体の多くが行政ではないことが挙げられると思います。2ページに示すように、13都市のうち行政主催は5都市のみで、他は市民活動団体です。まちづくりや交通環境は、行政や警察の理解と協力がなければ、改善は困難です。
さらにもう1つの要因は、日本では、「マイカーを減らし、公共交通を推進し、安全で快適な生活環境を作る」ということへの認識が、社会全体でも市民レベルでもまだまだ希薄だという現実にあると思います。カーフリーデーやモビリティウィークのことが、テレビや新聞などでほとんど報じられない現実にもそれが表れています(地方紙の報道はあるかもしれませんが。横浜カーフリーデーは神奈川新聞社が後援団体に入っており、毎年報道されています)。市民の関心も薄い現状では、行政も積極的に市民に理解を求めながらまちの姿を変えていこうという気は起きないのではないでしょうか。
さまざまな課題を抱える中ですが、16年もの間開催し続けておられる横浜カーフリーデーの実行委員会のみなさまのご尽力には、いつも敬服の思いです。今年も参加の場を与えていただいたことに、心よりお礼申し上げます。
横浜カーフリーデー2019に参加して
去る9月22日(日)に横浜公園・日本大通りで行われた横浜カーフリーデーに、クルマ社会を問い直す会として参加しました。
私が設営の準備から撤収まで通して参加したのは、参加3回目にして初めてになります。当日は台風接近予報でいつ風雨が強くなるか心配されました。雨が降り始めるとパネルを濡らさずに撤収することに支障するので、雨雲レーダーを見ながら展示パネル一部縮小のタイミングを見計らいました。幸い天気予報より雨の降り出しが遅れて、結果として終了時間まで天気はもってくれました。
会場ではスタンプラリーで記念品が貰えるという企画があり、各展示団体が目に止まる機会を増やしてくれていましたが、じっくり見てくれることにはつながっていないという実感でした。
テントが無く多数のパネルを配置する当会は、天候によっては、全体は開催でも会の展示は中止という選択肢もあります。また今後ですが、私案としてはテントを借り、主なパネルの他はタブレットで閲覧できるようにするなど、天候に左右されないような対策が必要と考えています。また、地球温暖化の影響で、9月下旬でも真夏のような日差し。このイベントだけでなく運動会など秋の屋外イベントは、参加者・役員の熱中症などの心配を考えると、今後は10月下旬でないと無理ではないかと実感しました。
今回の本会の展示物中、約30枚のパネルを写真に収録し、今後の再編、電子化に備える作業を行いました。既に解消された問題など実態にそぐわない写真の除外、汚れたものの再作成も必要と考えます。
横浜カーフリーデーは、首都圏で表に出てアピールできる貴重な定期イベントです。官民一体、労使一体、自民党の地元小此木代議士からのアクションもあるなど超党派的な面もあり、本会の主旨の拡大・浸透のために望ましい場だと思いました。また、会場のそばに野球場の横浜スタジアムがあるため、かつては横浜DeNAベイスターズのデーゲームと重なった年は盛況だったとも聞きましたが、連日超満員でスタンド拡張している今ではもう収拾がつかず、むしろ避けなければならないようです。
本イベントへの参加について、会員さんからご意見をいただきたいと思っております。メーリングリスト不参加の方はお葉書などでも、会(連絡先は会報表紙上段に記載)までお送りください。
参加者として見に来てくださった会員さんにも、あらためて御礼申し上げます。
クルマ社会を問い直す 第98号(2019年12月)