書籍の紹介『セーフティプロモーション  安全・安心を創る科学と実践』

書籍『セーフティプロモーション 安全・安心を創る科学と実践』の表紙です。

『セーフティプロモーション  安全・安心を創る科学と実践』
日本セーフティプロモーション学会編
晃洋書房
2019年9月刊
B5版216ページ
2,800円+税
ISBN 9784771032583

日本セーフティプロモーション学会は、「事故や事件などによる外傷は予防できるという基本理念のもと、行政、市民、企業などの様々な主体が協働し、安全に安心して暮らせるまちづくりを進めていこう」と、学術研究や活動支援などを行っている学会です(同書編者紹介から抜粋)。

同学会員であり問い直す会会員でもある今井博之さんはこの本の中で、『かつての「事故予防」は、今日では「傷害制御」と呼ばれる。もともと事故という言葉には、「不運」とか「予測できなかった」というニュアンスが含まれており、したがって事故は「やむを得ないもの」であり、合理的に防止することは困難であるという先入観を包含している。また、事故は疾病とは異なり、受傷者側にも何らかの落ち度や不注意があったのではないかという偏見が未だ払拭できていない。しかし、今日では傷害は科学的に分析すれば対策が立てられるし、負傷した個人を責めても何も生み出さないことが明らかにされてきた。』と述べています。

また「交通事故予防」については、中原慎二氏(神奈川県立保健福祉大学大学院 教授)が執筆されています。

『危険源(クルマ)を避けるような行動は、交通外傷を減少させるが、同時に外出や外遊びの減少により身体活動が低下する。そのジレンマを避けるには、系統的対策により危険源をコントロールし、健康的な生活の基盤である安全な環境を整えることが重要である。また、子どもへの歩行者安全教育など、自衛教育の効果は疑問である。』と指摘されています。

このほか、様々な領域におけるセーフティプロモーションとして、子どもの事故予防、高齢者の事故予防、運動・スポーツの安全と外傷予防等、多くをカバーしています。
みなさまには、ご一読をお勧めします。
(青木 勝)