[足立]警察のいちばんの願いは交通事故を減らすことだと思うが。
[星野]その通り。目指すところは同じ。私も警察官として実際に事故の現場にも行っているが、事故に遭われた人はその後の人生もすべて狂ってしまうようなところもある。
どんな事故であっても防げるものは防ぐ、1件でも減らす、悲惨な事故を減らすことが使命だと思っている。まだ道半ばで回り道もあるとは思うが、進めていきたい。
[足立]正直なところ、ドライバー目線の対策が強いように感じる。渋滞なくスムースに走行させることが最も重要という話をよく聞く。
[星野]交通の円滑化も道路交通法に定められた目的の一つ。でもその上に安全があって、安全が確保された上の円滑化。
[佐藤]では速度制限の緩和は何をもってゴーサインが出るのか。
[星野]試行だが高速道で110kmまで引き上げたところはあり、実施後数か月経って県警から報告を受けて検証しているところ。その結果で今後の速度引き上げの方向性を決めていくが、す
べて引き上げるわけではない。場所の条件によって異なるが、安全が担保されないとできないことだと思っている。
[佐藤]生活道路は極力速度を下げていくという方向も併せて示してほしい。その中にゾーン30の展開もあると思うが。
[星野]道路は個々すべて状況が違うと思うし、種類も違うと思う。ひとつひとつを考えて規制をしていかないといけないと考えている。
[佐藤]法定速度は60km/hだが、所により制限速度はまちまち。制限を決めている基準は?
[星野]基準はある。ホームページにも載っていたと思う。
[榊原]規制速度の基準がわからない。
スクールゾーンだからこういう規制だというならわかるが、こっちは規制してあるがこっちは無い、という場所、同じ道路幅で同じ交通量なのになぜと思う場所もある。基準が明快でなく公平に伝わってこない。
補助標識で「スクールゾーン」や「住宅地」などと標示してもらえるとよい。規制の理由説明を、補助標識を使って示したり、地域との説明の場などでしていただきたい。
「ゾーン30」については「徐行ゾーン」といった考え方はどうかと思っている。道路交通法上、徐行はすぐに止まれる速度とされている。徐行ゾーンというアイディアは速度の規制に有効な方法だと思う。
今回の要望書でも歩行者優先ゾーンという書き方をしているが、学童が多いところなどは徐行ゾーンにしていただきたい。実際に保育所の近くなどに徐行区間がある例を見かける。
[星野]そういう考えもあるかと思う。
[榊原]教習所でも、30km/h制限とある場合は30km/hまで出しなさいと言われるので、そう誤解をしている人もいると思う。
最高速度規制の点検・見直し通達で、実勢速度という話が出てきたのも不思議に思っているが、そもそも制限速度より高い実勢速度ができることがおかしい。
反則金も超過の度合いで高くなっている。ドイツでは市街地は厳格に制限を守り、少しでもオーバーすると捕まると聞く。特に「ゾーン30」内では厳しく取り締まってほしい。
[足立]本来「ゾーン30」は、埼玉大の久保田尚先生なども言われているかと思うが、「子どもがi遊んでもいい空間」というボンエルフの考え方からきている。その考えが日本では浸透していないのかなと思う。
[井坂]「ゾーン30」の実施はだれがどのように決めるのか。警察が勝手に決めるのか、または自治体からの要望などを受けて決めているのか。
現場で見ていると、自治体が率先して(指定拡大に)取り組んでいるところもあれば、「ゾーン30」の指定は警察がするもので自治体は関係ないという態度のところもあるので、聞いておきたい。
[星野]最終的には公安委員会が決定するものだが、地域住民の理解が必要。地域で検討して決めるものなので、警察が実施する場合もあれば、自治体等が主導することもある。
[佐藤]歩行者や自転車が集中している道路で40km/h制限になっていて危険を感じるところもある。自転車、歩行者を含めて考えないといけない。
「ゾーン30」でも、子どもに遊んではいけないと言っているところがあるが、違うと思う。スクールゾーンについても、子どもが右端に寄って歩かなくてはならないのは本来おかしいと
思うが、クルマが来たら子どものほうが避けることが慣習になってしまっている。その意識の大転換が必要。
「ゾーン30」は子どもも老人もいることを前提とした特別な場所にしてほしい。
●歩車分離信号増設の要望について
[榊原]歩車分離信号は増やしてもらっているとは思うが、間違いなく事故が減る方向になると思うので、なんとか予算を付けていただいて増やしてほしい。
[足立]警察庁で推進の通達も何度か出されているが、また出していただき、周知してほしい。
当会会員で「命と安全を守る歩車分離信号普及全国連絡会」の長谷智喜さんも、トラックによる右左折事故が多い中、完全なる歩車分離信号を増やす必要性を訴えている。
[星野]はい。お金の問題もあるが、進めていかねばならないのは分かっているので増設するように通達は出している。