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2.「トラック等の自動車による歩行者事故被害を減らす対策強化の要望」中の「中型・大型自動車の車体の安全対策の義務づけ」
K:トラックの後方確認のバックガイドカメラなどは2015年10月に起きた徳島の事故(盲導犬を連れた視覚障がい者がバックしてきたトラックに轢かれて死亡した事故。トラックの運転手がバック時の警報ブザーを切っていた)を受けて義務化を検討していると聞いているが。
M:今、交通政策審議会の技術ワーキンググループで検討している。警報音装置を切っていて気づかれなかったということで警報器の問題だが、警報音さえあれば視覚障害者は逃げることができたか、という問題提起もされており、運転者がいかに歩行者の存在に気づきやすくするかというために、バック確認のカメラやセンサーなどの対策についても審議会のパッケージで方向性を議論していただいている。
K:事業用車の安全装置の重要性は国交省も認識し、運送関係の事業所に補助金も出していると聞いている。
しかし、事業所の多くは中小規模で経費を極力削減したいので、装置をつけないことが多いと思う。そこに運転手の技能不足等の問題が重なってひどい事故が起こっている。中小の事業所も安全装置を装着するよう補助支援をもっと推進してほしい。
今またオリンピック等で工事が増えており、運転手の質の低下も懸念されている折り、装置で歯止めをかけないと悲惨な事故が繰り返される。
補助を増やすことや安全装置装着の義務化についてはどう考えているか。
M:ご指摘通り確かに運送事業業界は中小企業が大半を占めており、資金も体力もない所が多い。国交省では平成22年からデジタルタコグラフやドライブレコーダーなどに補助金を交付しているが、それはまさに中小企業を対象にしたもの。来年度の予算措置にも入れている。
安全装置装着義務化については、そうした装置をつけなくても安全に運行している事業者も多くあるので、兼ね合いを見ながら普及促進をはかりたい。
また、補助金額は予算の面で国交省だけでは決められないが、より幅広い事業者に補助をしたり、選定の見直しをしてより先進的な機器に補助するなど、補助の方法を見直すことも検討しており、そうした運用面での努力はしていきたい。
K:中小企業における安全装置等の普及率はどの程度か?
M:今手元に資料がないので確実な数値ではないが、デジタルタコグラフはバス全体で4割、タクシーやトラックで2割程度、5割まではいかなかったと思う。
ドライブレコーダーはバスで2~3割、トラックで2~3割といったところでそれほど普及は進んでいない。我々は普及促進を考えている。
K:バックアイカメラ、バックガイドモニターなどの後方視野確認支援装置の普及率はさらに低いのか?
M:これはオプション装置なのでよくわからないが、バックを知らせる警報装置についてはすべての車についているが、夜間など騒音の問題からスイッチを切ってしまう場合がある。
K:死角のないクルマ、国交省ではミラーレスも進めるということだが、トラックは後ろが見えないのでそういうものをぜひつけてほしい。
ドライブレコーダーは一般車においてもかなり事故抑止力になると思うが、義務化が今一つ進まない問題はどこにあるか。
M:ドライブレコーダーは第10次計画でも取り上げており、情報の活用について検討する、ということになっている。義務化を望む声もあり、皆さんのご意見も含めて検討したい。
K:多くのメーカーがありアセスメントも難しいと思うが、ドライブレコーダーがあることで運転が慎重になることも期待できるので、ぜひ義務化を早く進めてほしい。