服部圭郎「道路整備事業の大罪 道路は地方を救えない」洋泉社新書 2009/8
この新書で紹介されている事例は、大半が既にどこかで目にしているものでしたが、この本の斬新さは、道路建設はまちづくりにとって多大なマイナスの影響を及ぼすと、旗幟を鮮明にしているところにあります。これは、車道は狭いほど街は魅力的になるという私の主張とも合致し、とうとうここまではっきり物を言ってくれる本が現れたかと、意を強くしました。著者は本当は書名を「道路を造ると地方は衰える」としたかったそうなのですが、編集部の意向でおどろおどろしいタイトルになってしまったようです。元の題の方がポイントを明確に示してよほどインパクトは強かったのに、誠に残念です。しかしいずれにせよ、広く読まれて欲しい好著であります。(清水真哉)