五十嵐敬喜・小川明雄「道路をどうするか」岩波新書 2008/12
ここ数年、道路公団民営化、暫定税率問題、道路特定財源の一般財源化など、道路を巡って国政は揺れ続けてきました。
人口減少、自動車離れが進む中、日本中で不要な巨大道路が造られ続け、まるで亡国への道を敷いているかのようです。
この秋までには必ず総選挙があり、政権交代が起きる可能性が高くなっていて、仮に民主党を主体とした政権となれば、道路特定財源の一般財源化が最大の政治問題として前面に出て来るでしょう。民主党の公約からすれば、高速道路の無料化といった政策も議論されてくるはずです。
道路建設に関わる制度は複雑で、しかも不都合な実情を表に出さないでおこうとする意向も働いているようで、真実を知ることは容易ではありません。
この両著者は岩波新書に公共事業、行政改革、都市計画などをテーマとした著作の共同執筆を続けており、この『道路をどうするか』の中でも、道路特定財源から転用されて都市再開発に支出されている問題などが指摘されています。
道路問題を知るための入門書としてこの新書は手頃なものと思い、紹介させて頂きました。(清水真哉)