クルマ社会の問題
交通事故 ~毎日多くの死傷者が出続けています~
交通事故は減ったと言われますが、2020~24年の5年間だけでも合わせて1万6,321人の尊い命が失われ(事故後30日以内死者数)、重傷を負う人は13万5,927人に上ります。
うち半数は歩行者と自転車利用者で、その比率は他の先進国に比べて高く、日本は特に弱い立場の者が危険にさらされているのが現状です。
青信号で横断中も右左折車が進入し、道の端や歩道にも速度違反や操作ミスのクルマが突っ込んできます。
クルマ優先の道路構造や交通システム、甘すぎる運転免許資格、自動車自体の事故防止機能の不備、違法運転に寛容な司法のあり方など、多くの問題が今も放置されています。

事故死者の5割超が歩行者と自転車利用者
公共交通衰退・移動困難者の増加 ~クルマを使えない人に冷たい社会~
6歳以上の人口の 3 割前後はクルマを運転できないと推測されます(2022年、当会試算)。
しかし、クルマ利用を前提とした国の都市計画・税優遇政策の陰で、民間事業者に依存した公共交通はクルマの普及や人口減により衰退を余儀なくされています。
その影響で、多くの地方においてクルマを使えない人は通勤・通学・通院・買い物など日常生活の維持も困難な交通弱者(移動困難者)になり、過疎化にも拍車をかけています。
高齢になってもクルマを運転せざるを得ない状況が死傷事故を増やす要因にもなっています。
公共交通は国民の平等な移動の権利の保障として、また、安全で環境負荷の少ない移動手段として重要なインフラです。
莫大な道路財源と比べて極めて貧弱な公共交通の拡充・整備予算を大幅に増やす必要があります。

鉄道やバスへの国の投資額は道路への投資額の15分のⅠ
大気・環境汚染 ~健康被害も深刻です~
クルマの排ガスは以前より改善されたものの、窒素酸化物(NOx)・粒子状物質(PM2.5等)などの有害物質は今も環境を汚染し、ぜん息などの呼吸器疾患の要因ともなっています。
近年は、タイヤやブレーキの摩耗粉塵に含まれる大量のマイクロプラスチックや有害物質による河川や海の汚染も、深刻な問題となっています。
道路や駐車場の建設による地域の分断や自然破壊、クルマの騒音や振動による心身や生活への影響、また、街の賑わいの喪失がもたらす様々な影響も無視できません。
地球温暖化 ~取り返しがつかなくなりつつあります~
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書によれば、産業革命前に比べて地球の平均気温が 2℃上昇すると 10年に1度の熱波に襲われる確率が5.6倍になるなど、温暖化の深刻な影響が予測されています。
パリ協定の「気温上昇を産業革命前の 1.5℃以内に抑える目標」の達成に向け、日本は「2050 年カーボンニュートラル」を宣言し、温室効果ガスの排出実質ゼロの目標を表明しました。
日本では運輸部門からのCO2排出量は全体の約19%で、その9割近くがクルマによるものです(2023年)。
輸送量当たりのCO2排出量は、自家用車は鉄道の7.5倍、バスの2倍にもなります。
走行中は CO2を排出しないとされる電気自動車も、製造過程ではガソリン車の 2〜2.5倍のCO2を排出すると言われます。
走行に必要な電力の供給も現状では化石燃料に依存しており、期待される再生可能エネルギーも普及には課題山積の状況です。
子孫に生き残れる地球を残すためには、クルマ自体の利用を減らす対策が避けて通れません。

輸送量当たりの CO2 排出量、マイカーは鉄道の 7.5 倍
クルマ優先社会を考え直しましょう!
クルマは便利な乗り物ですが、クルマの濫用が人の生命、人権、地球環境を侵害し続けているという事実はほとんど無視されています。
その現実をよく見て、クルマの使い方、道路や都市構造や公共交通のあり方、運転免許や運転に伴う法制度、自動車関連税制などを根本から問い直していく必要があります。
クルマ社会を問い直す会は、クルマ優先社会を変えることをめざす全国の仲間が集まり、1995年春に結成されました。これまで行政等への要請、出版など様々な取り組みを行ってきました。北海道から沖縄まで、全国各地で仲間が活動しています。
- クルマ優先でなく人優先の社会へ。
- 安全に道を歩きたい。
- 排気ガス、クルマ騒音のない生活を。
- 公共交通、自転車は私たちの足。
- 守ろう地球。
- 減らそうクルマ、増やそう子どもの遊び道。
会の案内リーフレット