青木 勝(共同代表)
新型コロナウイルスによる緊急事態下で、公共財である公共交通機関が経営難から運行停止に陥らないよう、全国路面電車ネットワークが、4月に下記の緊急アピールを発信しました。問い直す会も賛同団体として加わりました。公共交通機関の財政難の現状は、「NPO法人公共の交通ラクダ」(岡山)のホームページにいろいろ紹介されています。
令和2年4月 17 日
「新型コロナ・ウィルスによる交通崩壊を防ぐための緊急アピール」
新型コロナ・ウィルスにより、全国的な外出規制が行われる中、地域の電車やバスは社会のインフラとしてほぼ通常通りの運行をしている。しかし、交通の現場は、感染リスクを抱えながら必死の運行をしつつも、春の新学期等の定期券販売をはじめ、観光客・買い物客の現金収入を失い、このままでは早晩、各社は資金詰まりを起こし、各地で運行が困難になる。
この緊急事態においても、公共交通は生活インフラとして通常どおりの運行を要請されている。
道路と同じく「公共財」である以上、安全運行が困難になってからでは遅い。運行停止で困るのは一般市民である。
- アメリカ連邦交通省が公共交通に対して250億ドル(約2兆7千億円)の支援を発表した様に、資金面での全面的な公的な支援を至急対応すべきである。
- 事業継続が困難となった事業者は、一時、国有化、公有化も選択肢と考えるべきである。
- 全国の交通事業者は、4月15日現在の前年対比売り上げを公表し、至急、全国民に窮状をアピールするべきである。
■報道各社におかれては、全国各地の路線バス事業の窮状を、是非とも調査・報道をお願いしたい。
全国路面電車ネットワーク運営委員長
NPO法人公共の交通ラクダ(岡山)会長 岡將男
背景
元々日本以外の国では、公共交通が民営で成り立つ国は珍しく、欧米先進国はすべて既に公営ばかりだ。だから日本だけが阪急の小林一三のビジネスモデルで成り立っていた。
そもそも路線バスは40年間お客が減り続け、新車も買えず、給料が安く、高齢化で転倒事故なども増え、運転手不足で減便が始まっていた。そこで現在地域公共交通活性化再生法の改正が国会に上程されている。しかし今回、収益を支えていた観光バスや高速バスが激減している上での外出規制で、もはや大手といえども全社経営危機に陥る状態にある。地方鉄道各社・JR各社も同様である。だがもはやJR含めて、国民の最低限の移動環境を維持するための行動を取るほかは無くなった。何も手を打たなければ、4月末までには資金繰りに行き詰まって、即日運行が停止するバス会社も出るのではないか。
全国路面電車ネットワークとは
人と環境にやさしい路面電車・LRTの推進を通して、交通まちづくりを考える、全国市民団体ネットワーク。各地で活動する路面電車愛好支援団体、公共交通支援、環境、まちづくり、バリアフリーなどの約40団体で構成され、国会の新交通システム推進議員連盟と連携しながら活動。交通政策基本法制定などへのロビー活動も展開してきた。
問い合わせ先
NPO法人公共の交通ラクダ 会長 岡將男