台湾の歩行者権利促進団体【還路於民(Vision Zero Taiwan)】の皆さんと、意見交換をしました

当会の参加者の感想

岡田百合香

日本の交通問題の現状に不満・問題意識を感じる中、先進的な取り組みをしている欧州にばかり注目しがちでした。
今回台湾の皆さんから「日本がうらやましい」という発言が聞かれ、「そうか、日本より悲惨な交通環境の中で闘っている人たちもいるのだ」と気付かされました。

日本と共通の問題に加えて、交通取り締まりに消極的な警察、歩道拡張に反対運動をする店主たち、小学生の子どもの送迎にバイクを使う状況、ところかまわず違反駐車しまくる人々…
日本には存在しない数々の問題を聞くだけで途方に暮れそうになりましたが、台湾の皆さんの熱意、行動力に大きな希望を感じました。

驚いたのは、台湾メンバーの語学力です。一部の方は日本への留学経験があるとのことで、日本語でのプレゼンテーションや質疑応答に対応して頂いたおかげでスムーズかつ深みのある議論ができ、こちらにとって非常に有難いことでした。英語力を生かして各国の同様団体とも交流も行っているそうで、我々も国内だけでなく国外へも情報発信・交流していきたいと感じました。

熱くて、優秀で、気さくな台湾の皆さんと交流できたことは私にとって大きな刺激となり、今後の活動へのパワーをもらいました。

井坂洋士

台湾ではオートバイの問題が深刻な様子が伝わってきましたが、台湾の「バイク」を「クルマ」に置き換えると多くの問題が日本にも当てはまるほど、似たような問題に直面していると思いました。

今回訪日されたのは上岡直見さんの著書の翻訳出版を担当された方々とのことですが、皆さん若手で、しかも道路交通分野の幅広い知識もお持ちで驚かされました。
日本側には上岡直見さんなど日本の統計に強い方も居られ、ときに突っ込んだ質問も出ていましたが、我々から投げかけた質問にも皆さん協力して調べて回答されている様子が印象深く残っています。

気候変動など一部の分野では、日本でも若い方々が立ち上がって運動を盛り上げておられますが、こと自動車・道路問題になると業界団体とマスコミ、政府の三位一体で問題をひた隠しにしていることもあり、私たち日本人は自動車・道路問題に無頓着な人ばかり。

台湾は今でこそ大変な状況ですが、道路問題に関心の高い若手の皆さんが活躍されている様子を拝見し、頼もしく思えるとともに、問題を認識すらしていなさそうな人ばかりの日本の状況に危機感を強くしました。

佐藤清志

先日体験した台湾の交通安全、特に歩行者の安全なクルマ社会を実現させようと活動を進める団体との意見交換会は私にとっても大変刺激的な経験となりました。

まず活動に携わる方々のお若さです。私たちの会も高齢化が大きな問題の一つとなっているところですが、台湾のみなさまは学生を含むすべて20~30歳代のお若い方々であったこと、そしてそこに産官学のメンバーもともに活動されているということに、何よりも運動に対するパワーを感じたところです。

内容については台湾が異常なまでのバイク交通社会であるということで一見、日本の自動車社会とは異なると感じられるところではありますが、私の地元東京都内では二輪車による交通死が他県に比べ突出していることを考えるとともに検証していく価値はあると考えました(同じくバイク社会といわれるベトナムなどと比べれば信号機などのインフラは整備されているとは思われます)。

先方のプレゼンを聞いていて一番驚いたのが交通死者の数字でした。
年間死者数は日本の数字をやや上回るものなのですが、総人口は日本の約1/6ということなので人口比で考えるとクルマ先進国の中でも突出して交通死者の多いアメリカをも上回る数字となることを考えると問題の緊急性も感じるところでした。

またその被害が歩行者など交通弱者に向けられるようであればなおさら、危機感を持っておられると考えます。

活動メンバーの中には私と同じ交通ご遺族もおられたこともあり、ともに進めていきたい思いを深く感じたところです。

小路泰広

会議室に入ってきた団体の皆さんが若くて驚きました。元気いっぱいで大学サークルのようでしたが、プレゼンや意見交換もしっかりしていて、日本から学びたいという意欲が旺盛で感心しました。
何よりも行動力が素晴らしく、ぜひとも見習いたい点です。このような貴重な機会を頂いた上岡さんに感謝するとともに、団体とは今後も交流を深めていきたいと思いました。