大八木町交差点の歩車分離信号を視察して

■交差点視察2日目

2日目の視察は、10月2日です。午前7時10分頃から10時にかけて行いました。

目的は、この交差点でもっとも利用者の多いいと思われる通勤時間帯の横断者の数や車の渋滞状況、そして改善された時間配分の確認です。

横断者の利用者別状況

はじめに、横断者の利用者別状況を見てみま す。調査時間は7:25~8:30の約1時間です。
大八木町交差点の横断歩道利用者のグラフです。
図表1

図表1は、交差点を渡る人の時間帯別、横断者別数を計測しグラフにしたものです。横断者別は、学生の歩行者と自転車別、一般の歩行者と自転車別です。
一般自転車の中には、保育園に向かう父兄の自転車も数台ありました。

交差点の利用者がもっとも集中する時間帯は、やはり通勤通学の時間帯です。この時間帯に交差点の横断者を数えてみると、小学生15人、中高生の通学自転車が113人です。一般の人は、歩行者30人、自転車27人、全合計185人です。結果、この交差点の利用者で最も多いのは、自転車通学生で、徒歩の小学生を加えるとこの時間帯の利用者は73%が学生たちでした。
この交差点は、郊外に位置する小中高生の通学路交差点であるといえます。

さらに、交差点を利用する横断者の動向を観察してみました。

歩行者も自転車も皆きちんと押しボタンを押して信号待ちをしています。まだ信号の切り替えから4日目であるにも関わらずに順応が速いことに驚かされました。
生徒たちが信号待ちをする奥には歩行者の赤信号が点灯しています。大型車がエンジン音をうならせ右左折する横断歩道に人や自転車はいません(写真4)。

交差点で自転車に乗った生徒たちが歩道で信号待ちをしている前を大型のタンクローリーが左折しています。
写真4

背後から迫る大型車の死角に身を委ねることなく、全ての車が停止する安全な時間帯に渡りきる学生たちの後ろ姿が印象的でした。
同時に歩車分離信号は、お互いが信号を守る限り事故が発生しないシステムであることを、改めて実感しました。大型ドライバーの方々にとっても、安全で安心して右左折できる信号交差点として喜ばれているのではないかと思いました。

しかし、横断者の中には押しボタンも押さずに赤信号を突っ切っていく学生がいたのも事実です。
このような困り者は、歩車分離信号でなくとも危険な行為を行っているのではと思われます。とは言え危険感覚の乏しい若い命を散らせないためにも、信号遵守という最低限のルールを守らせる、効果的な教育方法を模索していく必要性を実感しました。

車両に目を転じてみると、車の渋滞は、これまでと大きくかわらないように感じました。実際ここを通過するバスは、通勤通学時間にはいつも10分程度遅れ気味とのことです。ともに調査していたご遺族が「時刻表を見たらバスの遅れは、いつもとほとんどかわらなかった」ということから、多少渋滞が伸びたにせよ、やはり歩車分離信号による大きな渋滞は発生していなかったと考えられます。

交差点の混雑は、人も車も集中していた7: 30~8:30頃までで、その後はまったく車の混雑は感じられず、信号待ちの車は、一回で全て渡り切ります。
このことは、歩車分離信号にするに当たり、事前に交差点の通行量を調査して各現示の適切な配分調整を行った、信号担当者の技量によるところが大きいと思いました。