みなさま、常日頃より「クルマ社会を問い直す会」の活動にご理解とご協力を賜り、まことにありがとうございます。少し前の話になりますが、嬉しいニュースを目にいたしましたので、あらためて共有させていただきます。
昨年、当会主催の講演&対談会でお話しくださった宮田浩介(みやた こうすけ)さんが編著者となられた書籍「世界に学ぶ自転車都市のつくりかた:人と暮らしが中心のまちとみちのデザイン」(学芸出版社)が、このほど2024年度国際交通安全学会学会賞(著作部門)を受賞されました!
㊗このたび、私どもの本『世界に学ぶ自転車都市のつくりかた』(学芸出版社)が2024年度の国際交通安全学会賞(著作部門)に選ばれました🎊本書の知見とメッセージがいっそう沢山の方に届き、誰もがもっと生きやすい社会にしていくためのヒントになればと願っています(ブリュッセルへのバス車内より) pic.twitter.com/kydfLw51MR
— Kosuke Miyata 『世界に学ぶ自転車都市のつくりかた』IATSS Award受賞🎊 (@kosukemiyata) February 27, 2025
国際交通安全学会(IATSS)について
国際交通安全学会は、1974年に本田技研工業株式会社の創業者である本田宗一郎と藤沢武夫からの寄付金を基金として設立されました。同学会のウェブサイトによれば、「一企業内ではなく社会全体で、深く、広く、交通問題に取り組み解決することを目指し」「多岐にわたる会員による自由闊達な議論のもと、社会における自動車の在り方、交通社会の現状と将来の在り方をテーマに調査研究を開始」したとのことです。以後IATSSは特定の専門分野にとらわれず、工学、医学、心理学、教育学、社会学、経済学など、様々な角度から交通の問題に取り組み、その活動は日本国内にとどまらず、国際的にも展開されています。国内では、日本の交通事情に合わせた調査研究や、その成果に基づいた政府への政策提言、交通安全に関するシンポジウムやセミナーの開催、そして今回宮田氏が受賞されたような優れた研究や著作に対する学会賞の授与などを行っています。国外に目を向けると、特にASEAN(東南アジア諸国連合)の若いリーダー候補を対象とした国際的な研修プログラム「IATSSフォーラム」を長年にわたり実施し、各国の人材育成に貢献しています。また、海外の研究機関との共同研究や国際会議への参加・発表などを通じて、世界的な交通問題の解決に向けた知見の共有や議論も積極的に行っています。
宮田浩介さんと当会との関わり
宮田さんには、約1年前となる2024年4月20日、当会主催の講演&対談会「子どもが幸せに育つまち:サドルの上から見た交通」にて2時間にわたって熱く語っていただきました。講演では、上にも挙げました「世界に学ぶ自転車都市のつくりかた:人と暮らしが中心のまちとみちのデザイン」内で紹介されている世界各地の事例に基づき、都市や街路空間の構造のみならず、それらがいかなる理念や哲学に基づくのかといったことも含めて、示唆に富むお話を伺うことができました。おかげさまで参加者のみなさまからも大変好評を博しました。
受賞スピーチに込められた想い
4月11日に開催された学会賞の贈呈式には当会の会員も参加しており、宮田氏の受賞スピーチを拝聴する機会を得ました。その会員によると、スピーチの中でも特に「交通安全の責任と負担を交通弱者に負わせていては交通安全は実現できない」という趣旨のメッセージが力強く印象的だったとのことです。
この言葉は、まさに私たち「クルマ社会を問い直す会」がその活動を通じて日ごろより訴えている「誰もが安心して移動できる社会を」という想いと深く共鳴するものであり、会員は大変感銘を受けた、と報告してくれました。
最後になりますが、宮田さんのこのたびの輝かしいご受賞に、あらためて会として心よりお祝い申し上げます。このたびの受賞を、私たちも自身の活動への励みとし、今後も共にクルマ社会のあり方を問い直し、よりよい社会を目指して活動を続けてまいりたいと存じます。