ストップペダルの有効性を国交省で説明しました

榊原茂典(世話人・代表)

 今回の面談は、最近頻発している高齢者の運転によるアクセル・ペダルとブレーキ・ペダルの踏み間違い事故を防ぐ一つの手段として、会員の南平次さんが考案したストップペダルが有効であることを国土交通省(以下、国交省)の担当者に理解してもらい、同種の事故防止対策の一助となることを目的として、世話人佐藤清志さんの尽力で実現することができました。
以下にその概略を報告します。

日時:2016年12月21日 13時50分から15時5分
場所:国交省自動車局会議室

出席者:
国交省自動車局技術政策課
久保 巧 係長
クルマ社会を問い直す会:
榊原茂典(代表)、佐藤清志(世話人)、南 平次さん・星野英雄さん(会員)

なお、参加者の発言は記号で区別し、M:国交省、K:当会を示しています。

面談概要

M:軽自動車のような出力の小さいクルマの場合、加速をしようとペダルのベタ踏みをしてしまう可能性がある。その時ブレーキが掛かってしまうという問題はないか。
K:大丈夫だ。強く踏み込むとブレーキに切り替わるところで抵抗感があるのですぐ分かる(実物モデルを使って説明)。そこで踏み込むのをやめれば良い。
M:実績はどうか。
K:公道で自社のクルマを4台走らせているが全く問題はない。
M:車検は通しているのか。
K:認可は取れている。このストップペダルには今回マスコミに紹介されて600件の問合せがきているので、この装置を国交省に認めてもらえないかと思って来た。
M:商品化に向けてメーカーと話しているか。
K:大手部品メーカーと話している。

K:こういった装置の義務化は出来ないのだろうか。
M:まだ基準化の出来る段階に来ていないと思うのと、基準化の仕方が難しい。開発に枠を嵌めかねないので開発動向を見守りながら基準化したい。
K:海外の状況はどうか。
M:海外の状況は調査しているが、ストップペダルを義務化すると貿易障壁になりかねないと危惧している。
K:とにかく事故を無くしたい。毎日起きている。
M:しかし不思議なことに海外では余り問題になっていない。
K:国交省は少し消極的ではないか。
M:高齢者対策については官邸も動いている。
まとめは警察庁だが、国交省所掌のクルマのハードについて言えば歩行者検出(カメラで得られた画像から歩行者の位置と大きさを推定する技術)なども対象になっている。
今後の議論にはなるが取り組んでいかねばならぬとは思っている。
K:自動運転の開発待ちか。
M:自動運転と高齢者対策は違うが、対策をやらない訳では無い。
K:考え方だがこれは暴走防止装置でもある。
こういう装置がついていないのは、メーカーが手を抜いてきた結果ではないかと思っている。
M:メーカーが新車を出す時にはテストする訳だから、自動車アセスメントの評価項目とはなり得ると思う。
K:このペダルの仕組は完全なメカニカルなものであり、新車以外にも適用できるのが特徴だ。
K:メーカーがこういうメカニカルに安全装置を開発してこなかったのは不思議だ。メーカーが本気になれば出来ていたはずだ。

K:ぜひ評価項目に入れて欲しい。各種方式を並べてテストしてもらっても良い。この装置をJARI(日本自動車研究所)の筑波で公開し、試乗会は好評だった。
K:踏み間違い防止は一つのテーマになるはずだ、国交省の方でこの分野があることを広めてもらえないだろうか。
M:実は昨日も同じような装置を持ってきた方がいたので、課題となっていることはよく分かっている。この装置は車検も通しているのだから、認められていると思って良いのではないか。
K:今日もTVで紹介がある筈だ、ぜひ見て欲しい。
M:留意しておく。


ストップペダルに類する考案はいろいろあるようで、それを国交省に説明に来る面会者もかなりあるように見受けられました。
今回の面談の中で、こちらからは、「この考案がベストだというつもりでは無い。」「目的はとにかく悲惨な踏み間違い事故を無くしたいのだ。」「だからこのような装置を監督省庁としてメーカーなどに指導してもらいたいのだ。」ということを何度も強調しておきました。

偶然にもこの日、国交省から軽自動車メーカー4社に対し、高齢者事故防止対策として、自動ブレーキをはじめとした先進安全技術の開発と普及促進を盛り込んだ事故防止策を、2017年
2月末までに取りまとめるよう要請したことが、翌日報道されました。
その際、自動ブレーキのほか、ブレーキとアクセルの踏み間違い防止装置など事故対策に有効とされる安全技術の普及促進に加え、既存の車に後付けできる装置の開発も求めたというこ
とが分かりました。
この報道によって、国交省側も我々の目指す方向に動いていたことがわかり、今回の面談は時宜を得たものであったと考えています。