自動車局との懇談
2016年3月1日(火)13:00~13:45 国交省内自動車局会議室
国交省自動車局:
井上 哲氏(技術政策課 主査)
河野成徳氏(技術政策課 先進技術係長)
森本正司氏(安全政策課 事故防止対策推進官)
濱田 威氏(安全政策課 安全監理第二係長)
問い直す会: 榊原茂典代表 杉田正明 足立礼子 井坂洋士
(国交省側発言をM、当会側の発言をKと略記します)
1.「最近の重大交通事故を教訓とした緊急要望」について
M:技術政策課より、10項目の要望について全般の見解や今後の方針を含めてまず簡単に説明したい。いずれも交通安全の進展に資するご提言で、前向きに検討したいと思ってはいる。
たとえば②「衝突予防・軽減ブレーキ装置(自動ブレーキ装置)」については、大型車は追突時の被害が大きいので装着効果が見込まれるということで、すでに国交省として義務化を進めている。
小型車については義務化まではいかないが、自動車アセスメント事業で、安全性の高い車には星の数で点数を多くつけ、消費者に安全なものを選んでもらうということで装置普及に努めている。
⑦「赤信号冒進防止装置(信号遵守装置)」や⑧「道路の規制速度に合わせるスピードリミッター装置(速度制限遵守装置)」は、自動車単体ではなく、道路や信号と連携した通信型安全運転システムとして関係省庁で連携して検討しており、さらなる開発促進をしたいと考えている。
⑨「運転者の居眠り、病変による緊急停止(デッドマン)装置」は、つい先ごろも大阪・梅田で悲惨な事故が起きた(2月25日、ドライバーが大動脈解離を起こしたことにより、乗用車が暴走して11人を死傷させた)が、そういう事故防止にも関連するが、ドライバーを機械がモニターする方法や、バスなら乗客が運転者の状態をチェックすることもできるので、今ガイドライン(メーカーに対して国交省から要件を示すもの)を策定中で、今年中に策定したいと考えている。ほかにもいろいろ、国交省として安全面から積極的に施策を推進していきたいと考えている。
K:最近国交省はいろいろ手を打たれていると報道されているが、ぜひ促進していただきたい。アルコールインターロックは大きな飲酒事故の抑制になると考えているが、これの義務化はどう考えているか?
M:飲酒防止の点で有効な装置とは考えてはおり、ガイドラインを策定してメーカー等に対して装置の開発促進をはかっている。義務化、実用化の促進については、たとえばドライバーのなりすましの問題や、どういうシチュエーションでどういう装置にすればよいかなどの課題もあり、慎重に検討したい。
K:主な課題は、なりすましなのか。
M:運転者の呼気を判断しているかどうかという前提も、問題となると思う。
K:機器のメンテナンスが必要とか、本人の呼気を正確に計れるか等の疑問も一部にはあるが、小樽(2014年7月)や砂川(2015年6月)での飲酒ひき逃げ事件などを見るとかなり過度の飲酒をしており、1人で運転している場合も多いように思う。こうした悪質な事象だけでも検知できたら意義は大きい、その防止に役立てるよう考慮してほしい。
M:安全装置の普及により安全を計りたいと考えてはいるが、一般的に性能の高いものは価格が高く、レベルを少し落とせば広く普及させることができる。引き続きそういう観点からもどういう対策がとれるかを検討していきたい。
K:なりすましなどをする人間は少数であり、機器が義務化されれば、ドライバーにも同乗者にも精神的な歯止めになる。100%万全な装置はないと考えている。
K:なりすましの問題でいうと、運転免許ICカードを差し込まないとエンジンがかからないようにする装置も抑止になる。免停中の無免許運転による事故もしばしば見受けるが、その抑止の効果もある。比較的安価に実現できるのではないかと思うが、実現できない壁はどこにあるか。
M:我々は事故実態をふまえて、抑止効果の高いものを実用化したい。無免許運転事故も一定程度あるが、警察庁と連携して事故実態をふまえつつ検討したい。