国交省自動車局と懇談しました(5)

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K:軽井沢のバス事故もそうだが、事業者の運行管理面の不備や、運転手の質の低下などの面でも課題が多い。当会会員である路線バスの運転手によれば、このようなずさんな体制は考えられないという。そのような不備の多い中小企業がバス事業をしてしまっている現S実があると思うが、利用者からは良し悪しの見分けがつかない。事業者の評価、運転手の質改善のとり組みについてはどうか?

M:中小企業が多い業界に加え、運転手不足もあると認識しているが、安全は当然第一と認識している。今後、準中型運転免許を新たに作るなど法令改正もあるが、運転手を雇う事業者に安全を担保するよう伝えていく。
一般利用者への情報については、軽井沢バス事故再発防止検討委員会を1月から設けており、特に貸切バス事業者に対して利用者への安全なバス利用を周知しようという話も最近出ている。
セーフティバス(貸切バス事業者安全性評価認定制度)のようなものを広く周知していくことが1つの課題である。
また、情報提供としては、交通事業者の処分情報を公開しており、それも一般に検索できる。ただ、ホームページでは見づらく、周知は進んでいないが、もう少し宣伝もしてきたい。

K:処分情報では○○運輸のような運行を担う会社が出ているのだと思うが、問題の多いいわゆるツアーバスの場合、利用者は○○トラベルのバスに乗っているという認識であり、実際に利用するバス会社を選ぶことは出来ない。
発注元旅行会社の名前も公開するなど、利用者の選択に役立つ形で公開してほしい。

M:利用者は旅行会社と契約するので、旅行会社で宣伝をしてもらうなど、検討している。

K:事業者に指導に入る指導監督者の人数も足りないのではないか。口頭や文書だけでは抜け道がありすぎる。当会会員にトラック運転手経験者がいるが、運転手の技能訓練や試験もしない、違反すれすれのこともさせるなど、ひどい現実があるという。
今回の軽井沢のバス事故もそうだが、事故が起きる前に指導監督できないものか、その体制はどのようになっているか。

M:トラックについては、適正化実施機関で指導員が全国のトラック事業所を巡回してA~Eの評価ランク付けをし、運輸支局に伝え、Eランクの事業所については重点的に監査が入るという仕組みになっている。
貸切バスについてはそういう体制がなかったので、今度の検討委員会では民間団体の活用でどうしたらよいかなど、指導監督について議論を構築しているところだ。

K:民間活用は必要だと思う。そういうことも進めてほしい。

K:軽井沢バス事故では事業免許取り消しなど厳しい査定をされたが、国民も国の指導を信頼して見守りたい。
話は変わるが、安全装置の義務化についてはメーカーサイドでも定期検査の仕事が新しくできるなど、高くつくというデメリットだけでなく新しいビジネスも生まれるのではないかと思う。そうすればメーカーも説得しやすいのではないだろうか。そhういう視点を含め前広く考えていただきたい。
また次もぜひ懇談をお願いしたい。

 


今回の面談が終わって1週間後、貸し切りバスにドライブレコーダーの装備義務化方針が国交省から発表され、また貸し切りバス会社への処分強化も併せて発表されました。
その後も「ヘッドライトの自動点灯」義務化、「ドライバー異常時対応システム」のガイドラインを発表するなど国交省は安全面に対する規制・指導の強化を進めており、当会の交通事故を起こさない安全なクルマになって欲しいという主張は国交省側にもよく理解されていることが分かって、その意味では今回の面談は大変有意義であったと思います。
ただ行政側の常として技術の成熟度、利用者の負担増加に対する懸念、普及のための時間余裕、予算措置などを考慮しつつ手続きを踏んで義務化を図るという制約があり、今回の面談でも残念ながらその回答が歯痒く感じるところがあったことは否めませんでした。
ただお互いに求める方向性は異なってはいないと思うので、今後も要望と懇談を続けていきたいと思います。

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