また、スタンプのために人が大勢立ち寄ってくれるので、パネルを見てもらえるよい機会と期待したのですが、子どもも大人も10か所のスタンプを押して回ることに夢中で、展示を見る人は特に前半はまばらでした。通りの対面にピンクリボン活動協賛企業をはじめ、景品をいろいろもらえるブースが立ち並んでいて、人々の興味がそちらに吸い寄せられてしまったことも影響しています。しかし、後半になるとスタンプラリーも一段落したのか会場全体が落ち着いてきて、パネルを眺める人も増え、感想を言ってくださる方もいました。

スタンプをもらう親子に会場の説明をする佐藤さん
当会の写真パネルは、歩行者・車いすや自転車利用者の視点からみた道路のひどい現状、望ましい道路やまちの姿などを伝えるもので(しかも多くのパネルが古びてもおり…)、地味で目立たないのも無理からぬところですが、少数の人々にでも何かを感じてもらえたらよいと思っています。このような人通りの多い場所で展示の機会を与えてくださる横浜カーフリーデー実行委員会の皆さまに、感謝の思いです。
ただ、昨年の参加記(会報90号)にも記したように、日本のカーフリーデーの姿はこれでよいのだろうか、との疑問はいつも感じます。ヨーロッパの環境先進都市では自治体が主体となり、市全体でマイカー自粛などにするところもあるそうです。また、単なる一過性のイベントとして終わらせるのではなく、マイカー依存から抜け出す長期的な交通政策のビジョン(路面電車や自転車レーンの増設など)を進めている都市が多くあります。
日本では、カーフリーデージャパンの情報によれば、行政主導で行うのは11都市中5市のみで、横浜を含む6市は市民団体が主催です。どの都市もイベント会場は道路の一部区域だけで、交通止めもしない市もあります。市民全体にカーフリーデーの意義はどれくらい伝わっているのかなど、気になるところです。
本来、カーフリーデーの意義を考えるなら、どの都市も行政がもっと積極的に関与し、市民にその意義を伝え、開催期間中はマイカー利用の自粛を呼びかけて通行規制をしたり、公共交通の増便や運賃割引をしたりしてもよいのではないでしょうか。そのような形での参加都市がもっと増えるとよいと思います。
(松本市では行政と地域の企業・団体が一丸となり、ノーマイカーデーとしてマイカー利用の自粛呼びかけや市内交通規制をしています。ほかにも前向きな取り組みをしている都市があると思いますが、ご存知の方はお知らせいただければ幸いです。)
横浜カーフリーデーは、世話人の佐藤清志さんと安彦守人さん、足立が担当しました。また、都電網研究会から参加の藤村建一郎さんは、今年も佐藤さんとともに会場設営等に協力されていました。最後になりましたが、毎年企画・準備から片付けまでご尽力くださっている主催者のNPO法人横浜カーフリーデー実行委員会の皆さまに、心よりお礼申し上げます。
(参考:一般社団法人カーフリーデージャパンブログ )
(以上、足立記)
横浜カーフリーデーの感想
安彦守人(世話人)
横浜カーフリーデーに昨年からスタッフとして参加させていただいております。
各方面のブースも定着している印象を受けております。全体で最も印象に残ったのは、横浜市交通局の実際のバスを使って子どもたちを運転席に乗せて死角を実感してもらうという企画。
これには、日々命の重さを実感して乗務されている運転士さんたちの熱い心意気を感じました。
私のフェイスブックでも紹介させていただいています。

バスの死角体験(写真は昨年のもの)
規模の大きなイベントで、これを開催された実行委員会の方々の、15年の歴史を感じさせる手際の良さには感服しました。一方で少し残念だったのは、SNSでこの行事を事前に宣伝するにふさわしい、アピール性のある告知画面(一目で雰囲気のわかる画像やパッと見て伝わる案内情報など)がないように感じられた点です。フェイスブック等で事前紹介をしたいと試みたのですが、見る人を引き込むような見た目にはなりませんでした。SNSの活用が重要性を増している昨今、来年に向けて改革を検討いただけたらと思います。
会場の横浜公園内には横浜スタジアムがありますが、2年とも横浜DeNAベイスターズの公式戦には当たらずじまいでした。もし合致すれば、多くのお客さんに知ってもらえるという相乗効果が期待できます。
問い直す会の会員の皆様も、ぜひ当日の設営準備から撤去までの一部でもよろしいので、お手伝いかたがた参加していただけることを願っております。