榊原茂典(代表)
先般送付した『自動車の速度抑制対策、歩車分離信号の増設を求める要望書』、『自動車運転免許の認可基準の強化を求める要望書』に関して面談を申し入れていたところ、内閣府共生社会政策担当から面談の機会を作ってもらえましたので、以下に報告致します。
なお、本面談記録については、足立さんが会話の録音をもとに、井坂さんのメモも加えて原稿を起こしてくれましたので、榊原がそれを下敷に適宜加筆修正しまとめました。
開催日時:2018年8月21日(火)15時~16時
開催場所:内閣府交通安全企画執務室内会議室
内閣府:政策統括官(共生社会政策担当)付 交通安全企画第一担当 野崎美仁 参事官補佐
同担当主査 木村 傑 事務官(警察庁交通局交通企画課併任)
問い直す会:榊原茂典、足立礼子、佐藤清志(以上、世話人)、井坂洋士(地域活動連絡係)
(以下、敬称略)
〇運転免許の認可基準強化の要望について
[榊原]先ず「自動車運転免許証の認可基準の強化を求める要望書」から。要望骨子は、
- 車の運転免許取得・更新希望者に、現行試験のほかに運転能力や体調の試験検査を義務付け、厳しく判定してほしい。
- その結果が及第点でも違反回数が多い人などは有効期間を短縮し、試験を受ける回数を増やしてほしい。前期高齢者の有効期間も短縮してほしい。
- 違反内容により刑事・行政処分を厳しくしてほしい。
- ICカード免許証を活用した無免許運転防止装置を義務づけてほしい。
- 運転免許の自主返納をさらに促し、公共交通へのシフトを関係省庁とともに進めてほしい。
の5項目である。
[足立]運転免許の交付が安易だと思う。一度免許を取ると体調が低下してもチェックされず、身体に潜在的な問題があっても免許を更新できる。
知人の80代女性は心臓に持病があって日常生活も苦しそうだが、免許更新でパスし、認知機能も問題ないと検査官にほめられたという。医者に運転をやめるよう言われても、「免許証があるから」と運転を続けている。
免許取得・更新にあたっては、てんかんなど特定の病気については自己申告が必要で、75歳以上には認知機能テストも義務づけされているが、それ以外の基本的な健康状態や体調、運転に必要な身体能力はノーチェックの部分が多く、運転に支障のない健康状態かもっと厳密な検査を頻回に行う必要があると思う。
厳しくしては運転人口が減る、生活のために運転せざるを得ない人もいるということで免許取得基準は緩やかなのかもしれないが、問題なのは、交通事故による死傷者が年間60万を超すという現実。その現実を考えると、免許取得条件はもっと厳しくすべきで、以前も要望を出している。
運転技能や適性については、職業ドライバーには厳しい検査を義務付けているが、事故防止の点では一般ドライバーも高い技能や資質を持っていなければおかしい。現実には不注意運転やうっかりミスなど技能・適性に疑問のあるドライバーが多い。定期的にふるいにかけることが必要で、ドライバー自身の安全確保にもつながる。思い切った対策を講じないと事故は減らないと思う。
[野崎]我々の部署は交通安全を担当しており、最終的な思いは皆さんと同じだと思う。事故のない社会を目指し、かつ願っている。
内閣府では交通安全基本計画を策定しているが、安全対策は我々だけでできるものではなく、関係省庁と一体で作り上げている。現在、第10次交通安全基本計画(計画期間:平成28/2016年度~平成32/2020年度)に基づいて各省庁でさまざまな取り組みをしているところだ。
我々は安全啓発・安全運動などの面を主に担当している。
運転免許制度は道路交通法で規定されているもので、我々が直接担当していないので、具体的に申し上げられる立場ではない。
[足立]交通安全対策会議の場などで、事故を減らすために具体的にどうしたらよいかということを各省庁の担当者間で検討はされないのか。
内閣府の担当者として対策について意見を述べることはないのか。
[野崎]大きな目標として事故ゼロを目指しているが、一朝一夕にできることではないので、年次目標を定めて各省庁でできることを役割分担して取り組んでおり、その取りまとめをするのが我々の役割だ。
それぞれ所管する対策はそれぞれの省庁で考えてもらい、それを全体で進めていくというのが、今の交通安全対策基本法に基づく政府としての取り組みの形だ。
実際には、意見交換したり、有識者の意見を伺ったり、パブリックコメントで国民に意見を聞いたり、関係団体にヒアリングをしたりして、交通安全のための計画を立てている。
[佐藤]第10次交通安全基本計画の有識者会議は2020年までと思うが、今は次の計画に入る準備段階か。
[野崎]今は政策の効果を検証する段階だ。次の計画を立てるときの基準作りとPDCAサイクル*をうまく回すための取り組み評価手法を準備している。
専門の先生方に意見を伺う場は2020年度に開催するのが通常の形だ。2021年度から次期の取り組みが始まる。
( *PDCAサイクルとは、Plan= 計 画、Do= 実 行、Check=評価、Action=改善、を繰り返すこと。)