2015年11月2日に送付した2件の要望書「最近の重大事故を教訓とした緊急要望」「トラック等の自動車による歩行者事故被害を減らす対策強化の要望」に対する省庁側の考えを聞かせて貰うという目的で、12月24日に内閣政策統括官共生社会政策担当・交通安全対策担当と面談をしました。
今回の要望書提出は、偶然、政府の中央交通安全対策会議による第10次交通安全基本計画のパブリックコメント(パブコメ)募集時期と重なったため、パブコメに個人名で要望書の内容と似た意見を送りました。そのことが会談の中に出てきますのでご承知下さい。また、他の会員の皆さんも積極的に今回のパブコメに参加して頂いた事に感謝致します。
なお、今回の面談者久保田主査は第10次交通安全基本計画の担当であることを追記しておきます。
以下にその詳細を報告します。
内閣府との懇談 2015.12.24
11時~11時45分 内閣府内会議室
内閣府:久保田恒美主査、中川誠担当
問い直す会:榊原茂典代表、杉田正明、佐藤清志、足立礼子
榊原:まず、「最近の重大事故を教訓とした緊急要望」について、端的にどう感じられ、どう反映していただけるかを伺いたい。
久保田:第10次交通安全基本計画案(以下、第10次計画案と略)のパブコメにいただいたご意見もあるが、正直なところ内閣府としてはできる施策はなくて、国交省の施策となる。パブコメとダブる意見については対応を検討中であるという状況で結果はまだもらっていない。
榊原:こうした保安装置の装着を要望しているのは、装着によって安全性を高めたいというのが願いだが、皆さんはこういうものをつけることに対する壁や問題点としてなにか感じているものはあるか。
久保田:基準や車の標準装備についてどういうところに壁があるかということは、知見がないため、我々としては回答しかねる点がある。
榊原:国交省では、数日前も自動ブレーキの評価基準を公表すると発表している。そうした交通安全対策としての強い国の動きを期待したいところである。北海道の砂川の事故を見ても飲酒やスピード違反もあり、保安装置でなんとかしていただきたいと思う。第10次計画案にも
本要望に近い施策は記されているが、ぜひこういう装置装着を義務化してほしい。たとえばドライブレコーダーはだいぶ普及しているので、あとは多くの車に装着させることが課題だと思うが、事故の記録という点からもすぐにつけるべきと思う。そうした装備で、あればよいと思われるご意見があれば聞かせてほしい。
久保田:導入による是非もあると思うので、あくまでも個人的意見だが、あっても悪くはないと思う。しかし、導入によるなにかしらのマイナスもあると思うので、その点は検討が必要と思う。テクニカルな部分についてはやはり国交省の専門部署での意見を聞いた方がよいと思う。
榊原:一般的な考え方で、装備によりクルマの価格が上がってしまうという課題があるが、それは壁となるか。
久保田:メーカーの立場の話になると思うので、これも私見だが、政府としては安全性ということであるので、価格は関係ないのではと思うが、導入の基準はわからない。
榊原:先日、徳島で盲導犬を連れた視覚障害者がバックしてきたトラックに轢かれて亡くなる事故があった。クルマがバックする際の警報ブザーを切っていたことがわかり、条例でブザー義務付けになったようだが、背後を見ることのできるモニターカメラがあれば防げた事故で
はないかと思う。ブザーは騒音の問題で切っていたようだが、モニターカメラのような安全装置はぜひ装着するように方針の中に盛り込んでもらえたらと思う。
足立:次に、「トラック等の自動車による歩行者事故被害を減らす対策強化の要望」について伺いたい。1番目の要望の歩車分離信号は警察でも力を入れているが、最新の設置状況と今後の目標を伺いたい。第10次計画案でも中央交通安全対策会議専門委員会(以下、委員会と略)において審議されていると思うが。
久保田:各省庁のとりまとめをする立場なので、細かい点は把握しきれていない。細かい計画は聞いていない。
足立:委員会の中では具体的な対策は話し合わないのか。内閣府も具体策を把握したうえで第10次計画案を練るのだと思うが。
久保田:大きな枠組みを決める計画なので、細かい計画は各省庁で話し合う。
足立:各省庁から具体的な案が出るのではないのか。それがあって死者2,500人という目標案も出るのではないか。具体策がなくてビジョンだけということはありえないのでは。
久保田:各省庁で作るのはあくまでも方針であり、細かい施策をどう実施するかはこちらでは把握していない。各省庁から方針を要約したものが上がってくる。100~200頁のほかに鉄道や飛行機などの項目もあり量も多い。あれもこれもと書き込むことは難しく、記載もできない。
足立:以前も要望した運転に影響する病気の検査などは最近前向きな動きが出ていると思うが、これについてはどう委員会や内閣府で議論されているか。
久保田:道交法の範囲での話となるが、認知症の危険性は一定年齢を超えると上がると感じている。個人的な意見としては、自分の親は幸い今は認知症ではないが、正直症状が出てきたら運転させたくない。人に危害を加えることは避けてほしいと思う。