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【書籍紹介】上岡直見著『自動車の社会的費用・再考』

投稿日:2022年5月20日 更新日:

上岡直見さん(環境経済研究所)『自動車の社会的費用・再考』を出版されました。
2022年5月 緑風出版
以下の出版社サイトに、本の内容紹介が載っています。
http://www.ryokufu.com/isbn978-4-8461-2208-9n.html

「クルマ社会の負の側面を指摘し警鐘を鳴らしたのは宇沢弘文の『自動車の社会的費用』(1974年)であった。宇沢は、自動車の所有者・使用者が負担すべき費用を負担せず、外部に転嫁していることが無秩序な自動車依存が拡大する理由であるとして、その額は自動車1 台あたり年額で約200万円に及ぶことを示した。しかしその後も自動車と道路の増加は止まらなかった。その行き着く先として80歳を過ぎても自動車を運転しなければ日常生活も困難となるクルマ社会が形成された。
 宇沢の論考から半世紀が経過したいま、改めて宇沢ほか先人の指摘を振り返るとともに、自動車に依存した社会の転換について改めて現状を反映して考える。(2022.4)」

《目次から》
はしがき
1.クルマ社会は何をもたらしたか
 車は人間を解放したか/「クルマ強制社会」の形成/歩かなくなった人々/公共交通の縮小/災害と車~被害を拡大する車社会/格差・分断を助長するクルマ社会/
2.社会的費用半世紀
 社会的費用半世紀/宇沢の「自動車の社会的費用」論/宇沢以後の主な指標の推移/環境規制の経緯/排気ガス規制と大気環境/燃料規制/騒音規制/自動車は汚染のデパート/運転免許保有状況の変化/「若者の車ばなれ」/
3.住み方・動き方
 人と貨物の動き方/自動車はどのように使われているか/都市の構造と人の動き/街を変えた車社会/「停まる凶器」/
4.道路に関する動き
 道路政策の経緯/道路整備の効果/道路財源の推移/負担と受益/道路事業決定過程の不透明性/道路財源縮小の時代/自動車・道路裁判/
5.終わらぬ「交通戦争」
 交通事故の推移/日本の交通事故の特徴/交通事故は構造的な問題/事故データの公開/過剰なパワーが事故の背景/悪質ドライバーに対する対策/飲酒・薬物の影響/コロナ禍でも減らない重大事故/車より軽い人命/生命の経済的価値/
6.現代の社会的費用論
 社会的費用論/内部化に関する論点/社会的費用の現代的意義/社会的共通資本を守る/分野ごとの考え方と事例/大気汚染/気候変動/騒音/交通事故/道路インフラ費用/渋滞(混雑)/駐車/全体的なまとめ/
7.技術は社会的費用を解決しない
 先進技術の幻想/自動運転の幻想/自動運転の概要/自動運転は「低速」と「物流」で/「エコカー」は負の外部性を解消するか/EVは「走る原発」/EVのネットワーク利用は可能か/FCVも「走る原発」/補助金漬けのエコカー/EVの社会的費用は高い/MaaS(マーズ)は車社会を変えるか/
8.ポストコロナのクルマ社会
 新型コロナとクルマ社会/「新しい生活様式」は持続的でない/クルマへのシフトの動き/自動車か、移動の自由か/高速道路はSDGsか/自動車走行量の減少/これからの国土利用のあり方/「クルマノミクス」からの脱却/「ドウロノミクス」からの脱却/「低速交通」の重視/外国の交通政策との比較/
9.物流をどうするか
 誰がトラックを走らせているか/インターネットは「物質転送機」ではない/トラックドライバーの実態/鉄道貨物の活用は可能か/鉄道貨物の縮小経緯/社会的費用のケーススタディ/トラックドライバーの不足/
10.公共交通と社会的共通資本
 車がいらない社会をめざして/公共交通は格差緩和のシステム/地域の持続性と交通/道路を、取り戻す/交通機関とエネルギー/鉄道の位置づけの転換/社会的に必要なサービスレベル/
おわりに~カローラが発売されたころ

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