カーフリーデー(モビリティウイーク&カーフリーデー)は、クルマ依存社会が環境や生活にもたらす悪影響への反省から、クルマに頼らないまちづくりを進めようという主旨で、今から20余年前の1997年にフランスの都市で始まった取り組みです。そのうねりは世界に広がり、昨年は世界で3135都市が参加しています。
日本では、2004年に横浜市・松本市・名古屋市の3都市で初めて開催され、徐々に増えて昨年は13都市で開かれました。本会は市民団体が主催する横浜カーフリーデーに初回から参加し、写真パネル「道はだれのもの・東京」の展示を通してクルマ社会の問題を訴えてきました(昨年の様子は会報98号参照)。
しかし、残念なことに、横浜カーフリーデー実行委員会が昨年度で解散することになったとのお知らせがありました。担い手の不足や高齢化が理由に挙げられていますが、それだけではなく、社会全体の無関心や、行政など関係機関の傍観的な姿勢も一因ではなかったかと思います。ヨーロッパでは行政主体で交通環境改善政策へとつなげている都市も多いのに対し、日本ではカーフリーデーの理念を広めることにすら壁があるように感じています。
カーフリーデーのイベントは道路を一部車両通行止めにして行われるので、地元の警察や関係機関への協力要請をはじめ、企画・準備から後片づけまで大変な労力が必要です。16年間それを担ってくださり、本会にも展示の場を与えて下さった実行委員会の皆様に、心よりお礼申し上げます。
●横浜カーフリーデー実行委員会よりの、解散のお知らせ
拝啓
時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、皆様に長い間支えていただきましたが、当会は昨年12月をもちまして、解散する運びとなりました。
横浜カーフリーデーは、日本国内ではじめてカーフリーデーが行われた2004年当初から市民団体主催(2012年にNPO法人を開設)として参加し、16年間啓発活動を行ってきました。
交通問題や温暖化を中心とする地球環境問題に関する知識・理解を深めることが重要と考え、普及啓発に努めました。特に、こどもたちへの普及のため、教育委員会を通じ、近隣の6区の小学校へ四万枚のチラシを毎年継続して配布し、たくさんの親子連れの方々が、カーフリーデーに訪れてくれました。
毎年、横浜の関内地区において、日本大通りを交通止めとし、隣接する横浜公園とあわせて、様々な市民団体、企業、自治体等の出展や参画により、地球環境問題や交通だけにとどまらず、持続可能な社会のあり方について、幅広く啓発を行ってきました。
2008年に、「カーフリーデー・アジア会議in横浜」(セブンイレブン記念財団助成)を(一社)カーフリーデージャパンと共催。2011年 に 、カーフリーデージャパン主催の「環境や人にやさしい交通まちづくりを目指す市民団体のためのカーフリーデーワークショップ」(地球環境基金助成)に参加し、アジアでのカーフリーデーの普及に努めました。
2019年には、行政(国・県・市)と市民が一緒に考えるシンポジウム「持続可能な交通まちづくり~SDGsの実現にむけて」を開催し、カーフリーデー当日は、SDGsの実現に向けた全国協働企画「あおぞらえほんとしょかんinカーフリーデー」にも参加しました。
カーフリーデーは1日のイベントですが、実現にむけては通年の活動であり、持続可能な社会の実現にむけ、市民・行政との協働に努めてきました。しかし、後年、人手不足や高齢化により、会としての運営・存続が厳しくなり、やむなく解散を決断いたしました。
長年にわたるお力添えを頂きながらご迷惑をおかけする結果となり、まことに申し訳なく心よりお詫び申し上げます。長年のご愛顧に心から感謝を申し上げますと共に、皆様のご健勝とご発展をお祈り申し上げます。
敬具
令和二年一月
NPO横浜カーフリーデー実行委員会
役員一同
(会報『クルマ社会を問い直す』 第99号(2020年3月))