公開質問

総選挙にあわせ政党に問う

投稿日:2000年6月21日 更新日:

 総選挙の機会に、政党7党に向けてアンケートを実施しました。回答の可否と、回答の内容について取り急ぎお伝えいたしますので、投票のご参考になれば幸いです。次のような結果となっています。

回答状況

回答あり

保守党・日本共産党・社会民主党・民主党
 最初に要望した期日までに回答を寄せたのは、保守党のみでした。再度の郵便の催促にて、日本共産党と社会民主党が回答を寄せました。さらに電話にて催促したところ、民主党も回答を寄せました。

回答なし

自由党・公明党・自由民主党
 自由党は、電話にて15日までに回答するとの連絡があり、16日まで待ちましたが、届きませんでした。公明党はFAXにてお断りの連絡が来ました。自由民主党は政策調査会から、今回は回答する用意ができないとの連絡がありました。

質問状本文

クルマ社会(自動車に過度に依存する社会)の見直しに関する公開質問状

各政党総裁、党首、代表、委員長、政策責任者 殿

2000年5月15日
クルマ社会を問い直す会

 今、日本には7千万台の自動車が保有されていると言われています。この数字は、国土が狭い上に世界有数の森林国で、可住地面積は国土の20%に過ぎないという限られた土地に自動車がひしめき合っていることを意味します。

 自動車は、移動能力や運搬能力が弱い人間にとって、ドアツードアの利便性や輸送能力のある文明の利器です。利器であるがためにここまで普及してきたとも言えます。しかし、利用が適正な度合いを越え、それがもたらすマイナス面を制御する適切な施策が取られないと、利器は迷惑物や凶器に転じます。日本は世界有数の自動車社会に成長した結果、人間が安全に暮らすという最低限度の権利さえ日常的に枚挙に暇がないほど侵害されているのが現実です。私たちはこの歪みを正し、人間が賢明さを持って自動車を活用できる社会をめざして、自動車中心でなく、人間中心の交通政策、道路政策を求めて5年前に発足し、運動をつづけている市民団体です。会員は、北海道から沖縄県まで全国各地に居住する350人です。以上のような観点から以下の質問をさせていただきます。

 選挙の準備でお忙しい中、恐縮とは存じますが、選挙は政策で争われるものです。国民生活の安全を守ることは政治の最大の課題ですから、貴党の政策に則ってぜひともご回答くださるようお願い申し上げます。

 なお、ご回答いただいた内容はそのまま当会の会報に掲載させていただきます。同時に各新聞社・通信社、テレビ局など主要なマスメディアに紹介させていただきます。

 ご回答は5月末日までに下記宛て先までお届けください。
(連絡先:ここでは省略)

《アンケート項目》

1)毎年、交通事故のために、事故後24時間以内の死亡者に絞った警察庁の統計でも、1万人前後の人が命を失い、90万人以上もの人が重軽傷を負っています。重傷者の中には生涯寝たきりになる人、後遺症を一生背負い続けなければならない人も多数います。戦争でも自然災害でもないのに、しかも毎年連続してこれほどの死傷者を出すクルマ社会は、安全に暮らすという基本的人権が日常的に侵害されている異常な社会です。交通事故による死者が1万人を割るかどうかで一喜一憂している今の交通安全対策も、人命は一つ一つが大切であるという視点から見れば適切な対策とはとうてい言えません。以下のような交通事故による死傷者を限りなく0に近づける目標と計画を持ってこそ本来の交通安全対策であると私たちは考えますが、貴党のご見解と交通安全政策をお聞かせください。

2)今日、日本は着実に超高齢化社会を迎えつつあります。高齢者の歩行の安全を保障することは社会の急務です。障害者のノーマライゼーションも社会の必須条件です。子どもたちが屋外で伸び伸びと遊ぶことも健全な発育にとって欠かすことができません。ところが実態は、歩行者・自転車利用者だけでも6000人近い人の命が奪われ、高齢者だけでも死者は3000人に上ります(厚生省統計による)。私たちは、住宅地や近隣商店街などにできるだけ多くの自動車の進入禁止区域を設ける、仮に進入させてもスピードを抑制して完全に歩行者を優先させる区域を拡大させたいと考えています。すでにドイツでは「ゾーン30」として大規模に採り入れられています。この点について貴党のご見解をお聞かせください。また以上を貴党の政策に採用していただけますでしょうか、お伺いします。

3)子どもたちやお年寄り、傷害を持つ人たちなど交通事故の被害を受けやすい、あるいは歩行に際して危険を常に感じなければならない交通弱者の安全を第一に考え、前問で言及した地域以外の道路では歩道を整備する、狭い道路は一方通行化してでも歩道を設けるという安全対策を採るのが安全な社会への道であると思います。貴党はいかなる対策をお考えかを、お聞かせください。

4)幹線道路の交差点は、歩行者が非常に多く事故に遭う箇所です。横断中の歩行者の安全を守るには、歩行者が横断中に自動車が不注意で交差点に進入したり、信号無視で突入するのを防ぐために、青信号で歩行者が横断中に、横断歩道に沿って鉄道の踏切に見られるような「遮断機」を降ろす設備を設ける、分離信号を導入するなどの物理的対策が必要だと思います。これについての貴党のご見解、あるいは、交差点における交通事故を防ぐために貴党はいかなる対策をお考えでしょうか、お聞かせください。

5)交通事故による死者への損害賠償金、慰謝料が低すぎること、過失とはいえ殺人であるにも拘わらず刑罰が軽すぎること、行政処分も曖昧であることが、運転者に「取り返しのつかない事故を起こすかもしれない」という緊張感を忘れて運転させることにつながっていると思います。人命を奪うことに対する責任として賠償金、慰謝料の額を根本的に見直すこと、人身事故加害者がほとんど不起訴にされる現状を変え、悪質な場合には執行猶予でなく実刑を課すること、運転免許の取り消しなど厳しい行政処分を課することが、自動車による人身事故を0近くにまで減らす上で必要な措置だと思いますが、貴党のご見解と、すでに政策をお持ちでしたらそれをご紹介ください。

6)自賠責保険制度の内の国の責任部分である「再保険制度」が、規制緩和の流れの中で廃止され、すべてが民間保険会社に委ねられようとしています。営利が目的の民間保健会社は補償を求める被害者とは本来的に利害が対立する存在です。国の被害者救済事業としての「再保険制度」を維持すると同時に、寝たきりなど重度障害者や高次脳機能を患う障害者のための施設の増設、自宅での介護への経済的支援の充実などを急ぐべきだと思います。貴党のご見解をお聞かせください。

7)定められた航路や軌道の上だけを運行するパイロットや航海士、鉄道運転士が厳しい資格取得試験やその後の訓練を課せられているのに較べて、軌道がなく、どこでも走ることのできる自動車の運転免許が安易に取得できる制度も見直しが必要だと思います。自動車の運転はひとつ間違えば人命にかかわるという視点で、免許取得希望者に安全教育の徹底など教習内容の拡大、運転適性検査の厳格化、既に免許を取得している人にも新しい基準で再教育するべきだと思います。貴党のご見解をお聞かせください。

8)今日の運転免許取得率の高さと、若者の二輪車・自動車事故の高い発生率を理由に高校の教育現場では、自動車教習の一部を正課授業に導入しようという動きが見られます。一方で、原付きの技能検定や自動二輪の路上検定がいまだになく、免許年齢の引き上げが他国なみに検討されないなど、わが国の二輪免許制度は性能の強大化に対応できていないと思われます。学校教育に自動車教習を普遍的に導入することは、通学手段の選択への影響を通じ、地域における交通体系の選択を二輪車・自動車の自己所有に偏らせ、逆に、事故率の上昇、さらに大気汚染・地球温暖化など環境問題の悪化という懸念もはらんでいます。学校教育における「交通安全指導」のあり方、若者にたいする「運転者教育」の手段と方法、二輪免許制度の改革について、貴党のご見解をお聞かせください。

9)世界で屈指の鉄道網を有していた日本が無原則なクルマ社会化を推し進めた結果、鉄道の地方路線が次々と廃止され、その沿線地域の生活条件を根底から奪われることになって、地域社会が荒廃し、崩壊してしまう例さえあります。公共交通が廃止あるいは減便された地域では、お年寄りや病人、子どもたちなど、また、いろいろな事情から自動車の運転をしない人たちは日常生活に多大の困難を受けざるを得ません。これら交通貧困層への対策は、地方の生活、文化を再生させる上で避けて通れない問題です。公共交通である鉄道はもちろん、路面電車・バス路線網の再生、整備が必要と思いますが、貴党のご見解と政策をお聞かせください。

10)尼崎公害患者の訴えに対する最高裁判所の判決で明らかになったように、無原則、無制限な自動車走行は近隣住民に深刻な健康被害をもたらします。大気汚染による子どもたちの呼吸器系疾患の増加も各地で心配されています。大気汚染は近隣住民の健康被害のみならず、酸性雨による森林被害の原因ともなっているとの調査もあります。これらについての貴党のご見解と政策をお聞かせください。

11)国道43号線(大阪神戸間)訴訟に対して最高裁判所は、自動車走行による振動と騒音は近隣住民の受忍限度を越えた違法行為であると判決しました。ところが、昨年、中央公害審議会の騒音部会は、最高裁判所の判決を無視して騒音基準を緩和しました。貴党は交通騒音と人が安静に暮らす権利との関係についてどういう見解をお持ちでしょうか、また、そのための政策をお聞かせください。

12)無制限なクルマ社会化に合わせて自動車道路の建設が相次いでいます。それは都市部では2階建道路による都市景観の破壊、自動車道路による地域社会の分断、騒音、振動、大気汚染をもたらし、地方では森林、山地の開発のかけがえのない森林や生態系の破壊、地下水への影響などをもたらします。狭い国土に、すでに高速道路、主要幹線道路を合わせて6万6千kmもの道路が走っています。道路建設計画は人間が安心して暮らせる町や村作り、自然を保護し、共存することを原則として見直すべきだと思います。貴党のご見解と政策をお聞かせください。

(以上。)

回答結果

 以下に、質問内容に続けて、4つの党から届いた回答を示します。回答は、改行や字体を除けば、回答タイトルや段落なども含めて、原本にできるだけ忠実に入力しました。誤字脱字と思われる箇所もありましたが、そのままにしてあります(速報のため校正は1回としており、入力ミスも多少あるかと存じますがご容赦ください)。
 社民党からは、総選挙政策のうち関連部分資料も届きましたが、回答文書に重なる部分も多いため、略します(ご入用の場合ご連絡を)。

保守党からの回答

 

日本共産党からの回答

「クルマ社会の見直しに関する公開質問状」に対する回答

2000年5月30日
日本共産党

問1)について

 1999年の交通事故死者は9600人、死傷者は105万9403人と、大変深刻で心痛む事態が続いています。政府のような、あいまいな姿勢と目標ではなく、交通事故の死傷者を限りなくゼロに近づける長期目標と、それに近づけるための段階ごとの計画をきちんと持つことが重要です。日本共産党はかねてから、人命尊重がなにものにも優先されるべきであるとの立場にたった交通安全対策と交通安全施設整備・充実、2重3重の安全対策を求めています。

問2)について

 歩行者、自転車乗車中の交通事故死傷者の減少を減らすためには、人と車の分を徹底することが重要と考えています。この点で、ご指摘のように住宅地や商店街への車両の進入規制はきわめて重要であり、日本共産党はかねてから同様の主張をおこなってきました。

問3)について

 お年寄り、子どもたち、障害者などの歩行の安全確保は、国民みんなの安全確保になります。問2へのお答えでもふれたように、人と車の分離の徹底の立場から歩道の整備が重要です。かつて第1次交通戦争の時期に交通事故死者を半減させた教訓として、政府自体が「安全施設の整備の量的拡大と投資効果の大きさをあげることができる」(1987年度交通安全白書)とのべています。国や自治体の道路投資の重点を、大型公共事業の高速道路などから交通安全施設に転換することこそ求められています。
 同時に、今日では、傷害をもつ方々が使いやすい歩道づくり、車イスで歩ける街づくりに力をいれていく必要があります。

問4)について

 日本共産党としては、交差点の安全対策には次のことが必要だと考えています。
・歩行者が安心して渡れる交差点にするため、スクランブル方式や、歩行者と右・左折車の分断など交差点内での歩行者と車の完全分離。
・お年寄り、こども、障害者が青信号なら安心して横断できる特別の対策(信号の時間その他を含む)。
・立体交差や交差点の構造の改良。
・関係交通安全施設の整備。
・住民の要求に誠実に答えるための体制、組織の整備。

問5)について

 交通事故を起こした場合の補償や処罰の問題は、基本的には、それぞれの違反行為にふさわしい量刑や補償が必要だと思います。
 補償の問題は、自賠責保険における補償額の問題、無責事故とされて保険金がもらえなかったり減額される問題など多くの問題があり、その見直しが必要であると考えます。
 刑罰の強化の問題に関して、運転者がその責任を自覚すること、事故をおこした場合、法律にしたがって厳正な措置をすることは当然のことです。ただ、営業用車両の場合の運転者の労働条件、運行管理、過積載問題など企業の責任を含めて考えることが重要です。

問6)について

 自賠責保険の再保険制度が廃止され、民営化されれば、保険料の引き上げだけでなく、政府のチェックがなくなるため適正な保険金の支払いが確保されなく恐れがあります。また、強制保険でなくなるため、アメリカのように無保険者が増えることが必至です。自賠責保険の民営化をやめ、再保険制度を維持すべきです。そして現在、自賠責保険の運用益を活用しておこなっている重度後遺障害者などの治療、介護を充実すべきです。

問7)について

 免許取得の制度に関しては、例えば、指定自動車教習所の教習について、危険回避技能教習、夜間教習をはじめとして、その内容の改善が必要だと考えています。また普通免許所持者に対する原付の講習なども義務化するなど、全体として教習の充実をはかるべきです。
 免許所持者に対して、免許更新時の講習、或いは応急救護教習義務化以前の免許取得者等に対する応急救護教習の実施なども制度化し、受けやすくする体制整備を進めるべきです。また、高齢化社会のなか、高齢ドライバーに対する参加・実践型運転者教習や運転適性診断なども必要になっています。日本共産党は、こうした問題について国会でもとりあげてきました。

問8)について

 学校における交通教育、交通安全教育については、今日の車社会という現実を考えるならば、学校における交通安全教育の拡充は必要だと考えます。若者にたいする運転者教育については、2輪免許の路上講習、原付免許における講習制度など、その充実をはかるべきです。免許の年齢については、これまでの制度の歴史や事故と年齢の関係など、幅広い角度から総合的に検討されなければならない問題だと考えます。

問9)について

 わが国では、1960年ころからモータリゼーションが本格化し、以後、政府のモータリゼーション政策の展開のなかで保有自動車台数の著しい増加の一方で、公共交通機関は切り捨てられていきました。また、保有自動車台数の増加と比例するように交通事故も増加しています。
 日本共産党は、早くから政府のモータリゼーション野放し政策を批判してきました。そして公共交通機関の整備をすすめ、車の総量をおさえることなしに交通事故の減少はありえないと主張してきました。
 さらに、車の増加は交通事故にとどまらず、環境の問題でも、交通弱者の移動の自由の確保のうえでも大きな障害になっています。この意味からも、鉄道、バスなど公共交通機関の役割をきちんと認識し、その利便性を高め、安くて安心な交通機関として発展させます。

問10)について

 尼崎公害訴訟における最高裁判決は画期的なものです。これまで、道路のもつ社会性、自動車のもつ輸送の役割から、ともすればその必要性だけが強調され、大気汚染、健康被害や騒音問題がないがしろにされてきました。
 尼崎のほかにも道路沿線の公害問題、山岳道路の開通にともなう森林被害など道路に起因する公害問題は枚挙にいとまがありません。政府は、この最高裁判決をしっかり受けとめ、大気汚染、健康被害や騒音問題などの対策に真剣に取り組むべきです。

問11)について

 最高裁が示した自動車走行による振動と騒音は近隣住民の受認限度を越えた違法行為であるとの判決は当然のことです。
 従来から公害行政については、公共性の名の下に、また、技術的理由などにより、当然あるべき数値より低い基準や達成目標になるなどの対応も見られました。今日の社会では、環境を犠牲にするなど許されることではありません。

問12)について

 日本共産党は、年間50兆円にものぼる巨額の公共事業の大盤振る舞いを批判してきました。なかでも道路建設はその典型の一つです。道路建設は、公共事業に占めるシェアが大きいだけでなく、ガソリン税、自動車重量税など5兆円を超える道路特定財源という〃自動増殖装置〃があります。無駄なゼネコン型公共事業を大幅に削ると同時に、特定財源税度を廃止し、一般財源化しなければなりません。公共事業は、福祉・暮らし型を中心に切りかえ、道路建設は、街づくりや環境などとの両立を基本にすべきです。

社会民主党からの回答

2000.6.3
「クルマ社会の見直しに関する公開質問状」に対する回答
社会民主党 運輸政策調査会

 自動車中心でない、人間中心の交通政策、道路政策を求めてご活躍の貴団体に心から敬意を表します。
 だれもが行きたいところにいけるという「交通の自由」・「交通権」を保障し、安全で快適な交通システムを確立することが社民党の交通政策の基本です。社民党は、交通においてなくてはならない「安全、快適、公平」の三つの視点を守り、これまでの経済や産業構造を前提とした交通から脱却し、公共性を基盤に置いた人と地球にやさしい永続的な総合交通体系の実現に努力しています。
 そこでは、マイカー中心の交通ではなく公共交通の復権・拡充の方向が強調され、必要な社会的規制の強化と十分な公的財源の投入による公共交通の立て直しがなされなければなりません。社民党は、マイカー依存の車社会から、人、街、環境にやさしい公共交通機関への転換を図るため、「交通基本法」の制定を訴えています。
 ご返事が遅くなったことをお詫びしつつ、公開質問状について以下の通り回答させていただきますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

          記

1)交通安全対策について

 車社会の進展は、急速な交通事故の増加を招き、死傷者の激増をもたらしました。貴重な人命が年間一万人近く失われる悲惨な事故が続発していることは、非常に大きな問題です。社民党は、交通事故問題は広範囲にまたがる課題であり極めて総合的にとらえる必要があると考え、以下の施策の実現に全力をあげて取り組んでいます。
 まず歩行者と車が同じ道を通行することが事故の大きな要因の一つですから、歩車道の完全分離を推進するとともに通行区分の明確化を徹底し、またスクールゾーンの増設やコミュニティ道路の充実を図っていきます。交差点における歩行者優先の原則を徹底するとともに、信号機の高度化を進めるなど「人にやさしい」視点で歩行者安全策を追求します。
 次に自転車事故や歩行者への傷害事故を防止するため、非常に遅れている自転車道の整備や自転車通行帯の充実を推進していきます。
 車対車の事故防止のためには、道路標識や信号機の改善を図るとともに、自動車構造の一層の向上を進めるため構造基準の強化を図ります。またエアバッグの普及を進めています。なお、チャイルドシートの義務化や事故の発生につながりやすい運転中の携帯電話の使用規制については道路交通法改正を実現しました。
 社民党は、以上の観点から、年次計画に基づく交通安全施設の整備拡充を着実に進めます。また、交通安全教育の一層の推進や、自動車教習の強化など運転者対策も充実します。
 一方、各省庁の連携を強化するとともに、自治体が独自に交通実態にあった交通安全行政を行えることを追求します。

2)歩行者優先施策について

 クルマ優先ではなく、歩行者の安全が最優先されなければならないと考えます。総選挙政策では、「歩道と車道の完全分離、通行区分の明確化、スクールゾーンやコミュニティー道路の充実、「抜け道」の禁止、都心部への自動車の乗り入れ規制を強化」することを盛り込んでいます。住宅地のクルマ進入禁止区域の拡大、路側帯の歩道化、スピードの抑制、横断歩道における信号設置の促進などについてもあわせて今後とも取り組んでいくことをお約束します。

3)交通弱者の安全について

 貴会のおっしゃるとおりであると考えます。直近の「交通安全白書」によれば、高齢者の死者比率は99年で34.9%となり、車椅子利用の死傷者もこの10年間で約2.5倍になっています。また、事故死傷者の6割強が無違反であるといいます。歩道整備の促進、歩道の拡幅、路側帯の歩道化、狭い道路の一方通行化、歩道や路側帯への駐車の禁止・取締りの徹底に今後とも取り組んでいきます。

4)交差点における交通事故対策について

 交差点での巻き込まれ事故を防止するため、すでに分離信号の設置、時差式信号の是正について社民党も取り組んでいます。遮断機の設置や交差点における歩行者横断妨害の処分の重課についても積極的に検討していきます。

5)人身事故加害者の重罰化について

 交通事故は、毎年一万人近い死者と九〇万人を越える負傷者を生み出しています。その結果、「交通事故不感症」ともいうべき状況になっており、人間よりも物や金を優先させる風潮が人間の生命に金を払うことで交通事故の処理を完結しようとしているのがあたりまえとなっています。しかも女性は男性の六割水準にも充たないと逸失利益の算定基準における男女間格差もあります。
 1997年秋に世田谷区で起きたダンプカーによる「ひき逃げ」事件は、被害者や遺族に対する捜査当局の対応に配慮が欠けている実態を明らかにしました。社民党の追及によって、捜査状況や容疑者の処分結果を説明する制度の導入を政府に行わせることになりましたし、警察庁も遺族を対象にアンケート調査を行うことになりました。さらに、PTSD(心的外傷後ストレス傷害)対策も含めた事故被害者や家族の救済策をもっと充実させていきます。
 また、死亡事故に関して行政上の処分はわずか免許停止一年であり、交通犯罪の裁判の量刑についても窃盗や詐欺の方が業務上過失致死罪より重くなっており、一人の人間の生命を奪ったという行為に対する刑罰としては刑罰としては寛容に過ぎます。業務上過失致死罪ではなく、殺人罪を適用してもよいのではないかという遺族の方の心情も十分わかります。しかも実刑の減少、起訴率の減少など、検察庁・裁判所は交通犯罪に対する処理方針を寛大な方向へと転換させています。1993年版の犯罪白書では、国民皆免許時代、クルマ社会なので国民の多数が刑罰の対象となるのはよくない、保険制度の普及で起訴されなくても納得、刑罰以外の総合的対策で達成されるべき、などとしていますが、みんなでやるから仕方がないとか、金銭で解決すればよいというのは交通犯罪を容認することにつながってしまうのではないでしょうか。
 社民党は、あくまでも人間の生命が失われたことを基本にすべきであると考えます。寛刑化が交通犯罪に対する一般的予防効果を弱めているとも考えられますので、事故に見合った刑罰の量刑の引き上げを検討します。
 なお、警察庁が構想している行政制裁金制度の導入については、社民党は、刑事罰を課すものを行政の手に委ねてしまうこと、警察の恣意・裁量の余地が拡大することなどの理由で反対です。

6)自賠責保険について

 貴会のおっしゃる通りであると考えます。自賠責再保険制度の廃止を損害保険会社側が訴えていますが、営利目的の保険会社が本当に救済されるべき被害者の立場に立つことができるのか疑問があります。現在の再保険制度の運営の透明化・民主化は必要ですが、社民党は、すべて営利企業に委ねることには反対です。政府がきちんと関与するとともに、黒字については保険料の引き下げに充当するのではなく、逆に被害者救済事業をもっと充実させるために用いるべきであると訴えています。

7)自動車運転免許の見直しについて

 貴会のおっしゃる通りであると考えます。安全施設整備と同時に大切なのは、交通事故における加害者となる可能性のあるクルマの運転者への働きかけです。「交通安全教育の一層の充実や自動車教習の強化などの運転者対策」を選挙政策に盛り込んでいますが、運転免許資格の厳格化、教習内容の充実、交通弱者・事故被害者の立場を重視した再教育の実施などに取り組んでいくべきであると考えます。

8)学校教育における交通安全指導について

 学校では、運転を前提とした「教習」ではなく、歩行者や交通弱者、交通事故被害者の立場にたった交通安全「教育」や人間性の涵養、クルマ社会の問題点の学習を進めるべきです。高速道路でのスピード規制の緩和や2人乗り要求など、二輪の安全面からの逆風が吹いています。二輪免許についても、水準の高度化や取得年齢の引き上げ、実技・実習の重視の方向で見直すべきであると考えます。

9)公共交通の再生、整備について

 自動車中心の交通システムが、地球温暖化、渋滞・駐車場問題、大気汚染、騒音、交通事故等の様々な問題を引き起こしています。そしてモータリゼーションによって、公共交通が不便になったり、赤字を抱えるようになったりし、その結果、車を運転できない人々の移動の自由や権利(交通権)が保障されなくなってしまいました。大量生産・消費・廃棄型の産業や国土利用のあり方から循環と共生の経済社会システムに転換していくべきだというのはほぼ共通の認識となっています。環境、福祉の面からも、マイカー依存を厳しく制限することによって、快適な「人と環境にやさしい交通」を充実することが求められているのではないでしょうか。
 社民党は、脱クルマ社会を展望し、自動車の都心部乗り入れ規制や台数割当制度を導入するなど、自動車の総量規制に踏み出します。道路にかたよった社会的資源の配分を是正し、環境やエネルギーの点からすぐれた交通手段である鉄道の再活用に取り組みます。鉄道を地域住民の共同の社会資本と位置づけ、駅を拠点とした街づくり、アクセスや利便性の向上、駅周辺整備の推進や「ルーラルレイルウェイツーリズム」など、鉄道を核とした地域振興を進めます。
 とくに、排ガス抑制・省エネルギーの地域公共交通体系を確立するため、公害のない安全な大量輸送機関である路面電車の役割を見直し、その活性化を図ることを訴えています。その核となるのが、LRT(ライトレール・トランジット)です。LRTは、従来のチンチン電車とは異なる新しい中規模交通機関で、高速、専用軌道、郊外直通、低床車両等の特徴をもっている路面電車です。路面電車は、一キロあたり数億円と地下鉄や新交通システムに比べ非常に安い費用で敷設できるうえ、階段もなくすぐ乗ることができ、障害者や高齢者など交通弱者にもやさしい乗り物です。排ガス抑制や省エネルギーにも役立ち、また乗換えがしやすくネットワーク化も容易であり、小きざみな停留所の設定が可能でニーズに応えやすいものでもあります。都市計画の一貫として、人間中心の街作りとして車に占領されすぎた街を人間の手に取り戻すためにも、LRTを支援します。またガイドウェイバスやスカイレール、モノレールなど地域に合った交通システムの導入・整備も推進します。
 さて、地域住民の生活路線を守るということは、単にそこで交通企業を経営する一事業者の採算性を超えた「公共性」の問題であると考えます。こうした視点から社民党は、生活必需路線としての公共交通機関は、国・自治体の施策としてこれを維持すべきだと考えます。社会的なコスト・効率性からすれば、自動車産業を始めとする大企業の利益活動に主導された「私的モータリゼーション」のもたらす負担はそれ以上に巨大です。社会的には公共交通が圧倒的に優れており、バスの社会的必要性も明確です。公共交通を優先する立場で、道路目的財源の総合交通財源化を行い、バスの維持・復権のための財源を国・自治体の責任できちんと手当します。

10)自動車と健康被害、11)自動車と騒音

 地球温暖化、酸性雨、騒音や排気ガスによる健康被害など、私たちの生活や環境は、クルマ社会から大きな脅威を受けています。
 人々が、きれいな空気や環境を取り戻し、健康被害や騒音のない生活をおくるのは当然の権利です。裁判では自動車の公共性自体が争われたものであると認識しています。マイカーに本当に公共性があるのか自体疑問です。
 社民党は、何よりもクルマの総量規制を進め、脱クルマ社会をめざします。脱クルマ社会を支える基礎は、何人であれ環境を汚染したり、他人に迷惑をかける権利や自由はないという、人々の共通の認識です。
 1997円12月のCOP3京都会議では、わが国の目標として「2008年から2012年の間に、温室効果ガスを1990年比で6%削減する」ことが決定されました。そかし1997年度の二酸化炭素排出量は、1990年度との比較ですでに約9.7%増加しています。二酸化炭素のわが国における排出源は、1997年度で運輸部門が20.9%(排出量は90年度と比べ約21.3%増)。中でも自動車からの排出量が大部分を占めており、自動車排出ガス対策は緊急を要します。総走行量を削減することは吃緊の課題です。
 ディーゼル車を削減していくためには、生産の規制も行う必要がありますが、公共バスの電気自動車化は一日も早く行うべきです。電気自動車、天然ガス自動車、ハイブリッドカー、メタノール自動車など低公害車を普及するための施策も今以上に推し進めなければなりません。
 またトラックが主流になっている様々な物品の輸送を、鉄道や海運へ転換します。市街地の交通もバス輸送ではなく、新しい路面電車LRT(軽快電車)を導入します。当然、道路中心の公共事業も見直します。
 マイカーは生活に密着し大変便利なものです。これを規制すると抵抗のある人も多いと思いますが、人々がマイカーではなく公共交通機関を積極的に利用する施策、すなわちマイカーでは不便で不経済になるという施策を進めれば、「規制」しなくともマイカーの量は削減できます。環境税の導入《ディーゼル車、排気量の多い車(2000cc以上)など環境への負荷の大きい自動車には税負担を重くする。特にマイカーには重くする。ガソリン税導入》はその一つの方法です。
 大切なことは、自分たちが騒音や排出ガスの被害者にもなりうると同時に、その原因を作り出してもいる(加害者でももある)という一人一人の自覚です。この自覚なしにクルマ社会からの脱却は図れません。
 なお、すでに社民党の「二〇一〇年への政策ビジョン」では、安全・快適・公平な交通体系を実現するため、道路に偏った社会的資源配分の是正、鉄道を活かした都市間・通勤交通体系や路面電車のネットワークの整備、過疎バス・コミュニティバスの充実、駅舎・車両の改良などを進めることに加え、「クルマの所有者は適正な社会的費用を負担しなければなりません。そのために、乗り入れ規制・速度規制を厳正に実施し、勝って気ままに走ることを規制するとともに、車両台数などの総量にも規制を行い、公共レンタカー制を導入します」として、車に対する社会的規制の強化を打ち出しています。総選挙政策でも、「交通需要マネジメントを推進し、自動車の都心部乗り入れ規制や台数割当制度を導入するなど、中心市街地の自動車の総量規制に踏み出す」ことをお約束しています。自動車による騒音、大気汚染、渋滞、交通事故などの「公害」をなくすには、自動車自体の規制強化と自動車をもっと「不便」なものにして公共交通を充実させるという方策を強化していかなければならないのではないかと考えています。

12)道路建設について

 道路特定財源制度によって道路建設が進み、様々な公害や環境破壊を生み出しています。道路建設がその地域、住民にとって本当に必要なのかを問い直し、抜本的に道路建設の進め方と財源について見直すべきであると考えます。その際、重要なことは、クルマの増加や経済的利益を前提とするべきではなく、クルマの持つ負の面、社会的費用をきちんと折り込み、環境や文化、生活交通、健康等の社会的価値に基づいた判断がなされることです。そして道路予算を、歩道や自転車道の整備、道路のバリアフリー化、公共交通維持財源、環境対策財源に抜本的に組み替えるべきです。

 ご参考までに社会民主党の総選挙政策のうち交通に係る部分をお送り致します。(以下略:入力担当)

民主党からの回答

「クルマ社会を問い直す会」御中
民主党

選挙になり、組織内部が混乱してお答えが遅くなってしまいました、申し訳ございません。

1)交通安全対策としては、貴会からのご主旨に賛成です。事故死ゼロ社会にしてこそ「交通安全政策」であると思います。

2)貴会のお考えに基本的には賛成です。進入禁止区域の設定等は、国民生活と営業活動等を十分勘案し、地域住民のみなさんでお決めになることだと思います。

3)前国会に民主党は、移動制約者(高齢者、障害者など)の移動の自由を確保するための法律案を提出しました。今後もご質問のような方向に努めてまいります。

4)ご質問のご趣旨は理解します。しかし、幹線道路の交差点に遮断機等を設けても、鉄道の遮断機を壊してでも通過しようとする不心得者は存在します。また、わがもの顔で交通ルールを無視する暴走族も存在しますし、対策は今後検討いたしますが、他の異なる施策(たとえば「モラル教育」や他の問にもあるような策)が必要であると思います。

5)先日、大型トラック運転手の酒酔い運転により、幼子二人が親の目の前で焼け死んだ首都高速での事件に対する裁判で、懲役4年の実刑判決がありました。その量刑は法に照らせば妥当なのかもしれませんが、国民感情とはかけ離れた判決だと思います。とはいえ、刑罰を重くするだけでは飲酒運転や過失事故はなくなりません。問7や8にもある学校教育のみならず、モラルをしっかり身に着けられる生涯学習の必要性があると思います。また先日成立した「犯罪被害者保護関連法」を厳正に運用するよう監視します。

6)自賠責関係と障害者介護は必要であると思いますので、今後検討いたします。

7)問4、5のような方向で検討させていただきます。

8)問7のように検討させていただきます。

9)民主党は、民間でできるものは可能な限り民間に移し、市場原理・競争を基本的に促進することを原則にしておりますが、過疎化と高齢化が進み、民間では運営できなくなっていることも現実ですので、対策は急ぎ打たねばなりません。
 民主党は、この国のかたちを中央集権型から分権連邦型国家へ変え、「国」は外交、防衛、司法、通貨などに限定し、地域に権限と財源を委ね、10程度の「州」と1000程度の「市」に再編することにしています。その移された権限、財源に基づき、それぞれの地方公共団体で、その地域にふさわしい方策を立てるべきだと考えます。

10)ご質問のとおりであると思います。化石燃料からの脱却は一刻の猶予も許されません。電気自動車、燃料電池自動車、水素自動車などへの実用化を急がせ、その普及に努めます。

11)ご質問にありますように、一人ひとりが人間らしく暮らすことは憲法によって保障された当然の権利です。それが危ぶまれることにならないように監視し、より良きものへ改善していくことは、政治、行政の基本であると民主党は考えます。

12)生活に欠くことのできないもの以外作る必要はないと思います。ムダな公共事業のバラマキで、わが国の財政は後戻りできない現状にあります。また、ご指摘にある通り、元に戻せない自然環境をわざわざ破壊することにもなり、見直すべきです。

自由民主党

【回答拒否】

自由党

【回答拒否】
 

公明党

【回答拒否】

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