公開質問

6団体連名で飲酒運転対策 外食店に質問・要望

投稿日:1999年12月7日 更新日:

要点

  • 私たちは、クルマの飲酒運転者・飲酒運転事故を少しでも減らしたいと考えています。
  • 現在は運転者への啓蒙アピールは多くても、その原因である「酒類を出す側」の責任が問われていません。
  • 現在の酒類提供の状況は違法状態です。それが放置されています。
  • 飲酒の機会が増えるこの機会に、大手飲食店業者26社と2業界団体に対し、具体的な改善を要望しました。
  • 各本社へ社長様宛てで、12月7日に郵送しました。
  • 質問書という形で解答用紙・返信用封筒を同封しました。回答の有無・内容は1月末にまとめ、再度ご報告します。
  • 自動車問題に取り組む団体と、飲酒問題に取り組む団体、合計6団体、主旨に賛同し連名で出しました。

 交通安全運動などでは、「飲んだら乗るな」などの標語の呼びかけなどにより、運転者への心構えを繰り返し伝えています。しかし、これだけでは現状を改善することは、ほとんどできていません。根本的にはその原因に物理的な対策を施すことが必要です。つまり運転予定者へ酒類が提供されない状態が望ましいのです。そこで私たちは直接、飲食店業者への呼びかけを行うことにしました。

 なおこの内容については、警察庁交通企画課・厚生省生活衛生局指導課・通産省消費者相談室にも、指導要望を添えて提出しました。

酒類提供に関する質問・要望書(外食店に提出)

株式会社すかいらーく  社長 茅野亮 様

1999年12月7日

クルマ問題フォーラム飲酒運転被害対策委員会
クルマ社会を問い直す会
全国交通事故遺族の会
アルコール問題全国市民協会(ASK)
日本消費者連盟
イッキ飲み防止連絡協議会

 いつも私たち消費者へ、サービスのご提供ありがとうございます。今回は、酒類提供に関して、質問・要望をさせていただきたく、ご連絡さしあげます。

 年末にかけて飲酒の機会が増え、飲酒運転も多くなると予測されます。夜間の事故のうち、かなり多くの事故が飲酒後の運転者により引き起こされています。自損事故以外に、ほかの車・道路施設や、そして歩行者への一方的被害も少なくありません。
 飲酒運転による事故は轢き逃げが多く、外国では、飲酒運転は厳罰で、酒類提供者さえ罪が厳しく問われる地域もあります。また、飲酒運転事故による社会的損失は金額に換算しても大きなものであるという研究結果もあります。
 ところで、自動車を運転する予定の者への酒類提供は日本でも道路交通法違反となります。
(※以上、末尾の資料をご覧ください。)

 私たちは、飲酒運転による事故とその被害者が少しでも減ることを願っております。その有効な対策のひとつとして、運転者に対しての酒類提供時点で何らかの制限を設けることが考えられます。そこで、以下の点について質問をさせていただきます。

  1. 注文を受ける際に口頭などで、その客が自動車を運転する予定がないことを確認しておられますか。
  2. 入り口やメニューシートなどに、自動車を運転する予定がある方には酒類販売ができないことを、目立つように掲示・記載しておられますか。

 【要望事項】以上2項目について、実施なされていない場合は、実施をお願いいたします。
 ※この種のことはサービス低下と受け取られてしまう可能性もありますが、何よりも「人命を守る」という視点で、ご検討をお願いします。

  1. 以上の他に、客が飲酒運転をしないよう何らかの対策を取っておられますか。

 お忙しいところとは存じますが、上記質問に対する回答を、本年12月末までにいただければ幸いです。同封の、回答用紙(別書式でも結構です)と返信用封筒をご利用ください。この質問・要望書は多数の飲食店業者様にお送りいたしており、いただいたご回答は、報告書にまとめ、行政機関・報道機関・一般の方々に公開する予定です。上記質問に関連してこの際アピールされたい事がございましたら、ぜひお書き添えください。報告書に盛り込ませていただきます。
 なお、御社が酒類の販売をなされていない場合、非礼をお詫びいたします。

 以上、よろしくお願いいたします。

【資料1】運転を予定する者への酒類提供は違法

 道路交通法 第六十五条は、次のような内容です。
  ① 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
  ② 何人も、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。
 ②の規定に違反する行為をした者は①の酒酔い運転罪または酒気帯び運転罪の共犯として処理されます。「酒類を提供」するとは、酒類を求めた者にその求めに応じて酒類を差し出す行為をいい、「酒類をすすめ」るとは、積極的に酒類を差し出す行為をいいます。(一橋出版「道路交通法の解説」)
 実際に、『酒を飲ませた側も場合によっては「飲酒運転の教唆」または「ほう助犯」として厳しく追及する』という方針を出している地域もあります。(栃木県警の例 98.06.04朝日新聞朝刊)

【資料2】夜間に死亡事故を起こす運転者のうち1/4は飲酒あり

 死亡事故を起こした運転者のうち飲酒ありと判断される割合は、夜間で23%にも達しています(右図)。
 また、「ひき逃げをした運転者に事故現場から逃げた理由を聞いたところ、『飲酒運転が発覚することが怖かったから』と回答した運転者が約3割を占めていたという調査結果があります」。(財団法人交通事故総合分析センター「イタルダ・インフォメーション 1998 AUTUMN No.18」より 平成9年の統計 図版含)
 さらに『ひき逃げ事件で検挙された容疑者のうち過半数が「飲酒していたために逃げた」と逃走の動機を話してい』るという地域もあります。(引用:山形県の例 99.02.10毎日新聞朝刊地方版山形)

【資料3】飲酒運転はアメリカでは厳罰主義

 アメリカのカリフォルニア州では、「もし、飲酒運転で事故を起こしたら、本人はもちろん、そのドライバーに酒を提供した店も取り調べられ、罰せられ」ます。(週刊朝日'99.2.5ロサンゼルス市警交通捜査密着リポート4:柳原三佳著)
 また、ニューヨーク市警では「飲酒運転で捕まったら車を没収」という厳罰も発表しています(99.01.23 読売新聞東京夕刊)

【資料4】飲酒運転事故による社会的損失(損害金額)も大きい

 「第一当事者が、飲酒運転をしていた事故による損失額は、613億円」にのぼります。この人身損失額は、事故で死傷した人の治療関係費、慰謝料、休業損害、遺失利益等の合計です。飲酒運転により、大きな社会的な損失があると見ることができます。(『交通事故死傷者の人身損失額と受傷状況の研究』1999.4日本損害保険協会交通安全推進グループ 図版含)

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