2020年東京五輪の開催決定を受けて、クルマ社会を問い直す会は2013年10月9日、東京都知事、中央区長、江東区長、港区長に宛て、東京駅を発し臨海副都心へ結ぶLRT(路面電車)を整備する要望書を送付しました。
東京駅を発し臨海副都心へ結ぶLRT(路面電車)を整備する要望書
東京駅を発し臨海副都心へ結ぶLRT(路面電車)を整備する要望書(PDFファイル)
2013.10.09
東京都知事 猪瀬直樹 殿
中央区長矢田美英殿江東区長 山崎孝明 殿
港区長 武井雅昭 殿
クルマ社会を問い直す会 代表 杉田正明
要望書
東京五輪の招致・開催が決定したことを受けて、交通インフラの整備について下記の通り要望いたします。JR東京駅を発し、臨海副都心へ直線的に結ぶ路面電車LRTの路線を整備してください。路面電車LRTのルートについては下図のルートを要望いたします。
要望についての説明
五輪開催時に使いやすい軌道系公共交通の不足が予想されます。
都心側と競技会場の多数が予定されている臨海部側を結ぶ既存の軌道系公共交通としては、ゆりかもめ線、メトロ有楽町線、JR京葉線、そしてりんかい線があります。
しかし東京の中心駅・玄関駅であるJR東京駅からすっきり臨海部へ直線的に結ぶ路線が存在しません。
京葉線の東京駅は、東京駅の中心から外れた場所にあり、動く歩道があるにしてもかなり歩くことを強いられます。
他の3線は東京駅から向かう場合には新橋駅、有楽町駅、大井町駅もしくは新木場駅に行って乗り換える必要があります。
りんかい線を使う場合、またゆりかもめ線を使う場合も、会場へのアクセスとしては回り道の感が生じることが多いと考えられます。
そこで、JR東京駅八重洲口を出てすぐに乗れる路面電車LRTの新設を提案します。
既存の軌道系の公共交通ルート分布をみると、メトロ有楽町線とゆりかもめ線の間が空いています。軌道系の駅の空白地域となっています。そこでこの間にLRTを通すことを提案します。
LRTは地上を走りますので、東京の景観を眺めることが出来ます。ゆりかもめ線を除く既存3線は景観を楽しめません。五輪への観光客にとっては乗ること自体が魅力的なものとなるでしょう。
LRTは有楽町線、京葉線、りんかい線よりも駅間隔を狭いものに出来ます。出発地・目的地のすぐ近くにLRTの駅があることも多くなり、利便性が向上するでしょう。
LRTは道路からワンステップで乗り降りできます。既存の4線はいずれも階段・エスカレーター・エレベーターを使うことを強いられるのに比べて、高齢者・障害者を始め人々全般に優しい乗り物となるでしょう。
五輪後のまちづくりを視野に入れても、臨海副都心の利便性を向上させ魅力を高めるために路面電車LRTの新設は効果的と考えられます。
今回提案するLRT路線の新設は、旧来からの東京都心と臨海副都心との空間的・そして心理的な一体感を強めるものとなると考えます。
LRTにはつぎのような魅力があります。①18 歳未満などの自動車免許を持てない人も乗ることができ、交通弱者を減らすことができる、②決まった軌道を走るので交通事故を起こしにくい、③階段・エスカレーターなどでの上り下りが不要で、バリアフリー性が高い、④軌道上を走るので上下・前後・左右への揺れ・変化が小さく、バスに比べ乗り心地がよい、⑤自動車に比べ輸送エネルギーが約1/6~1/10 で済み、CO2排出量を少なくできる。
私どもは、クルマ依存型交通体系を脱却するために、路面電車を、世界の都市交通の基本的な手段にしていくべきと考えています。今回の要望が実現すれば、東京そして日本の都市交通の新たな1歩となると確信しており、五輪を機に実現させるべき有意義な事業と考えます。
補足事項
今回要望するに当たり、本来ならば検討しておくべきいくつかの事項について、専門家で無くまた情報の乏しい私どもでは検討できないまま要望しております。かちどき橋がLRTの重量を受けることができるか、車両基地をどこに置くか、スケジュール的に環境アセスメントなども含めて可能か、等々です。必要な検討は東京都、中央区、江東区、港区側でして頂くことを前提としております。