< 前へ || 1 | 2 | 3 | 4 | 5 || 次へ >
太宰府の歩車分離信号
横須賀を出港し九州入りしたフェリーは、10日夜に門司港に着岸。翌日に、太宰府天満宮に向かいました。大宰府駅前には、スクランブル式の歩車分離信号が設置されています。外国人を含め多くの観光客がピヨピヨ、カッコーの音響と共に安心して交差点を行きかっていました。
全てのドライバーは信号まちです。横断者を見落とすヒューマンエラーの要素はどこにもありません。つまり、ドライバーも右左折で対人事故の加害者になる要素が皆無なのです。この光景をながめ、人と車双方の安全・安心のためには、やはり人と車を分けて流す信号運用の重要性を改めて感じました。
大宰府天満宮は、現在大規模な改修を行っていました。視察前に仮本殿で歩車分離信号の普及祈願を行いました。その後西鉄福岡(天神)駅近くのホテルに到着し、翌日の下見を兼ね近くの歩車分離信号を見て回りました。
天神駅周辺には、多くの歩車分離信号が設置されています。
ふと見ると白状杖の方が青信号を渡り始めるのを目にしましが、よくみると、斜め横断をしています。あっ危ない!と思いました。しかしここにも歩車分離信号が設置されていました。この交差点は天神バスセンター前の大きな交差点です。斜め横断は禁止ですが、車は交差点に進入してきません。福岡では、スクランブルや歩行者現示式の完全分離の交差点にはすべて音響装置が付加されています。(運用時間は7:00から21:00、夜間早朝は停止ですが……)
白状杖の方は、他の横断者の靴音につられたのか?なぜ方向性を誤ったのかはわかりませんが、ここでも横断中に車が進入してこない歩車分離信号の安全性を実感しました。
雨の中での視察
翌日は、あいにくの天気で一日中雨でした。筆記用具や記録用紙を気にしながら傘をさしての視察となりました。福岡は、天神地区と博多駅間の公共交通の便がいいので、地下鉄で博多駅に向かい博多駅周辺を視察、戻ってから天神周辺の交差点を視察しました。そして最後に自車で明治通りの博多、天神間を走行し、ドライバー側からの視点で状況を見てまわることにしました。
1)博多駅府周辺の歩車分離信号群
博多駅は福岡市博多区に属し、全部で41の歩車分離信号が設置されています。博多駅には、日本最大級の駅ビルJR博多シティがあり駅西側には車道幅30m(歩道を合わせると50m)道路が、東側には20m(同35m)道路があります。博多駅周辺にはそれを囲むように歩車分離信号が設置されています。博多地区の視察では、博多駅博多口、博多駅筑紫口、博多駅前3丁目、博多駅東、合同庁舎前、市営駐車場交差点の6カ所を視察いたしました。
最初に出合った博多駅博多口交差点は、雨が降りしきるなか、歩行者信号が青になると、ここでもピヨピヨ、カッコーの音とともにたくさんの人が渡り始めます。
視覚障害者用の音響スピーカーは、歩行者用信号の上に取り付けられていました。(写真4)歩行者信号内には、大まかな待ち時間を表示する点滅灯があります。歩行者用信号が赤の時、下の青信号灯のサイドが点灯し待ち時間の長さを表示します。歩行者用信号が青の時は、横断時間の長さが表示されます。
次の博多筑紫口交差点では、車両用信号が赤になるとその下に「車は止まれ」の電光看板が点灯していました。息子が東京の八王子市上川橋の交差点で左折ダンプに巻き込まれ事亡くなった30年前の信号機と比較して、隔世の感を感じました。
福岡の歩車分離信号は、特定の車線の車を流すのに矢印信号だけでなく時差式信号も利用して車両を制御しているのが印象的でした。
博多駅前3丁目交差点は、歩道橋をもつY字路交差点です。博多駅東交差点は、直角の先端に V字が組み合さったような変形十字路交差です。
どちらの交差点も一般車両やバスがひっきりなしに行きかう大規模な交差点です。このような交差点で歩行者の安全を確保して、矢印信号や時差式信号を駆使しながら巧みにさばかれていく車の流れは圧巻です。見ていると時間がたつのを忘れてしまいました。
博多駅から500m程の所に位置する合同庁舎前交差点は、中規模ながらY字路と十字路の2つ交差点で構成されていました。この交差点は、隣接した交差点を一つの交差点の流れとして制御しています。分離方式は、Y字路は歩行者現示式でもうひとつの十字路はスクランブル式でした。車の信号無視や横断者のフライングを見ることもなく、人も車も円滑に流れています。横断者が歩車分離信号のため安心して渡っている様子を見ていると嬉しくなりました。
市営駐車場交差点は、線路脇にある20m主道路に細い従道路が交差する十字路交差点です。交差点脇がガード下になっているためドライバーが横断者を見落としやすい交差点です。歩車分離信号にした県警の配慮をうかがえた気がしました。