会員オンラインミーティング「クルマ社会をどうする?」第3回を開催しました!

小路泰広(世話人)

2025年11月22日に今年度3回目となる会員オンラインミーティングを開催しました。今回は、今年度新たに入会された上岡直見さん(環境・交通問題専門家)と小栗幸夫さん(都市計画研究者・ソフトカー提唱者)という、この分野の重鎮お二人に話題提供をいただき、予定時間をオーバーするほど活発な意見交換が行われました。以下にその概要を報告します。

1.データで考えるクルマ社会

上岡さんより「交通死傷は疫学である」という視点から、個人の意識改革だけでは防げない事故の構造的要因について、多数のデータを基にお話しいただきました。

<具体的なトピック>

●地方都市の象徴的な風景:

歩道が途切れ「ほどうおわり」の表示があります。

冒頭、地方都市の境界で見られる「歩道終わり」「車両(自転車含む)は歩道を通行しないこと」という標識の写真が紹介されました。歩道が突然途切れ、逃げ場のない車道を自転車や歩行者が通らざるを得ない状況は、まさに交通弱者軽視の象徴であるとの指摘がありました。

●データで見る相関関係:

都道府県別のデータを用いた分析では、「1人あたり乗用車利用距離」が長いほど、「循環器系疾患や糖尿病による死亡率」が高い(車に乗るほど健康レベルが下がる)という相関や、道路整備率が高く「走りやすい」地域ほど、事故件数に対する死亡率が高い(速度が出やすいためと推測される)という傾向が示されました。

●千代田区のパラドックス:

日本一鉄道利便性が高いとされる東京都千代田区において、3ナンバー車(特にアルファード等の大型SUV)の登録比率が極めて高いという「奇妙な現象」について解説がありました。実用性とは異なる動機で大型車が選ばれている現状が浮き彫りになりました。

• 「隠された」重要データ:

現在公開されている警察庁のオープンデータには、事故分析に不可欠な「具体的な車種(車名)」「衝突時の速度」「衝突角度」が欠落しています。
米国では車種ごとの死亡率(例:ある車種は平均の約5倍の死亡率がある等)や、メーカー別の事故リスクが公開されているのに対し、日本ではメーカーへの配慮(忖度)からか、これらのデータが伏せられています。上岡さんは「ITARDA(交通事故総合分析センター)のレポート等では車種別傾向に触れられているため、元データは確実に存在するはずだ」とし、これらを市民が検証できる形で公開させる必要性を訴えました。

〈質疑・ディスカッション〉

参加者からは、過去のNHK番組で「高馬力の車と若者の事故率」の相関が報じられた事例や、情報公開請求を行っても「捜査情報」として非開示になる現状への歯がゆさが語られました。解決策として、「警察行政を管轄する内閣委員会の国会議員等を通じ、国会質問や質問主意書によってデータ開示を求めていくべきではないか」といった具体的な政治的アプローチについても議論が深まりました。