会員オンラインミーティング「クルマ社会をどうする?」を開催

小路泰広(世話人)

2025年7月26日、会員オンラインミーティングを開催し、青木 勝さん(共同代表)の司会のもと、「運転免許制度」「自動車税制」「自動運転」の3つのテーマについて、話題提供者からの問題提起と参加者による活発な議論が行われました。以下にその概要を報告します。

1. 運転免許制度について(話題提供:足立礼子さん)

【問題提起】

まず、交通事故の多くが自家用車を原因とし、ドライバーの過失に加えて車両や道路の安全対策も不十分である点が指摘されました。人間は心身ともに不安定で不確実な存在だが、免許を持てば誰の監視もなく、心身の状態も問われず好き勝手に運転できることへの疑問が呈され、対策として以下の提案がありました。
・教習・適性検査の抜本的強化:夕暮れ時等の実践的な教習の必須化や、動体視力など検査項目を増やした詳細な適性検査の導入。また、運転に支障のある病気について医師や家族等の届け出も義務化する。
・厳しい再試験制度の導入:現行の更新制を、違反者への罰則も盛り込んだ再試験制度へ移行する。
・外国人の免許制度の見直し:基準が緩い外国免許からの切り替え制度や、試験なしで通用する国際運転免許証の問題点も見直しが必要。

【意見交換】

「再試験制度は絶対に必要。運転感覚の緩みを引き締める効果がある」「認知機能だけでなく、身体的な衰えも測る体力測定を導入すべき」「試験対策だけでは不十分。危険運転へのペナルティを大幅に強化すべきだ」といった意見が出されました。

2. 自動車税制について(話題提供:坂谷暁生さん)

【問題提起】

運輸部門のCO2排出量のうち、自家用車が大きな割合を占める現状から、自動車利用を減らす必要性が訴えられました。また、ガソリン価格や税制に関する世間の誤解が多いとし、正しい情報に基づく議論が必要だと提起されました。以上を踏まえ、以下の提案がなされました。
・用途別の税金設定:公共性の低い自家用車は、バスやトラックより税金を高く設定する。
・ガソリン税は維持・増税、軽油税は引き下げ:マイカー利用を抑制し、物流を支える軽油の負担を軽減することで、公共交通へのシフトを促す。
・EV時代に向けた新税制:将来的に燃料税での差別化が難しくなるため、「走行距離課税」や、贅沢品としての「加速性能税」などの新たな課税方法を検討する。

【意見交換】

「ガソリン税と軽油税の違いが一般に理解されていない」「公共交通を税金で支える考え方が日本は薄い。フランスのように企業から税金を徴収し公共交通の運賃を引き下げたり無料化する例もある」「重い荷物や多くの人を運ぶクルマを優先する社会を目指すべき」といった意見が交わされ、税制による交通政策の方向性が議論されました。

3. 自動運転について(話題提供:北條春樹さん)

【問題提起】

制限速度を守ると周囲から批判される日本の道路交通の現状に対し、絶対に速度違反をしない自動運転に期待が寄せられました。飲酒運転や脇見運転など人間のエラーを防ぐ点からも、人間よりきちんと運転するはずだとの期待が述べられました。

【意見交換】

参加者からは以下の意見が出されました。

  • 安全性と責任:事故がゼロにならない以上、誰が責任を負うのかが最大の争点。メーカーは
    「有能で注意深い人間ドライバーと同等」のリスクレベルを目標としており、人間より事故率の低い形での実現が期待される。
  • 導入の課題:現在の自動運転は安全のために速度が遅く、周囲のドライバーからの反発が予想される。また、欧州で義務化された自動速度制御装置(ISA)の導入が日本では遅れているなど、政治的な課題もある。
  • メンテナンスの問題:自動運転に不可欠なカメラやセンサー類の点検が車検のように義務化されておらず、ユーザー責任となっている現状は極めて危険であり、制度の確立が必要。
  • 今後の展望:完全自動運転が実現すれば、コンパクトなパーソナルモビリティが増える未来も考えられる一方、街がクルマで溢れ、歩行者にとって危険が増す可能性も懸念される。

以上、主な論点をまとめましたが、実際にはもっと突っ込んだ意見交換が行われ、時間が全然足りませんでした。
各テーマともに、何らかのアクションに繋げていくには、まだまだ議論が必要と思われますので、次回以降も企画していきたいと思います。

★第2回は9月27日(土)19時30分から行う予定です。皆さまぜひともご参加ください。
担当:青木 勝、小路泰広