横断歩道での「アイコンタクト指導」への疑問を警視庁に送付

足立礼子(世話人)

今年(2016年)2月中旬、東京都内で小学生が横断歩道でトラックに轢かれて亡くなる事故が2件、相次いで起こりました。1件は町田市で、小学1年の男の子がT字路交差点を横断中に後方から左折してきたダンプカーに轢き逃げされ、もう1件は足立区で、やはり小学1年の男の子が交差点を横断中に前方から右折してきたトラックに轢かれて亡くなりました。
どちらも、青信号で横断中にトラック運転手の過失によって命を奪われています。ところがこの事故の直後、警視庁(東京都を管轄する警察)は、「トラックには死角があるから見落とされないように、青信号でも安全とは限らない。必ず左右を確認し、ドライバーとアイコンタクトをとって横断を」という趣旨の談話を出しました。

この談話に対して、会員の多くから疑問と怒りの声が起こりました。なぜ非のない被害者側がもっと注意せよと責められるのか、幼い子どもに何重もの注意を強いる前に歩行者の安全を守る対策(特に交差点での右左折車による事故を防ぐ対策として歩車分離信号の増設)を急ぐべきだという意見に加え、ドライバーとアイコンタクト(目と目を合わせて渡ってよいかを確認すること)をとってから渡るようにという指導自体への疑問も多く上がりました。私たちが交差点でアイコンタクトの確認実験を行った結果でも、アイコンタクトの非現実性、危険性、矛盾が明らかになりました。

そこで2月末に、疑問点を盛り込んだ以下の意見書を警視庁に送り、主要なマスコミや政党にもその報告を送付しました。また、警視庁以外にもアイコンタクトを推奨する県警が少なからずあることから、警察庁にも意見書を送付して再考を求めました。

警視庁、警察庁からはいつもの通り受け取りの連絡もありません。しかし、3月には調布市でまた、自転車に乗った小学生が横断歩道を横断中に右折トラックに轢かれて亡くなる事故が起きています。そのため、警視庁はさらに子どもへのアイコンタクト指導を強化させているように見受けられます。その様子やアイコンタクト指導の問題については、「ドライバーとアイコンタクトをしてから渡れ、という指導の問題点」もご一読ください。

提出した意見書

ドライバーとアイコンタクトをしてから渡れ、という指導の問題点