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横浜市「バスネットワーク会議」
横浜市では2020年度より、交通政策を所管する都市整備局が主導して「バスネットワーク会議」を設置し[6]、市全体のバス路線の維持・充実を念頭に置いた効率的なバスネットワークの構築に資する計画を策定・実施してきた。
大枠は連節バスの導入によって生み出される経営資源を他の路線の維持・強化に充てるもので、幹線系統に連節バスを導入することで輸送力を確保しつつ減便し、乗務員の確保や収支効率化が見込める。そうして生まれた経営資源を収支率の低い枝線の運行便数を増やすなどして市民に還元する取り組みを行っている。
具体的には戸塚区(神奈川中央交通、2024年7月~)[7]と青葉区(東急バス、2024年4月~[8]で実施されており、いずれも2024年度より連節バスの運行が始まった。
本稿では紙幅の都合から、青葉区における取組事例に絞って紹介する。
幹線系統に連節バスを導入
東急田園都市線の青葉台駅で降りて改札を出て右手、すぐ目の前にある広いバスロータリーには多くのバスがひしめいている。沿線にはかつて東急(当時の東京急行電鉄)が開発した宅地が広がっており、路線バスが沿線住民の足を支えている。
その中でも今回連節バスが導入された青61系統・日体大行きは本数が多く、平日朝は2~5分毎、日中も5~8分毎に走っていて便利だ。
青61系統の沿線には日本体育大学(日体大)と横浜美術大学、県立田奈高校、および企業(三菱ケミカル)の研究開発拠点があって、その通学通勤需要を支える路線でもあって、乗客が多い。
よって利便性は高いが、平日朝夕は数分毎にバスが発車する過密なダイヤになっており、バスが連なって団子運転していることすらある。ここに連節バスを導入することで輸送力を確保したまま本数を減らし、利便性を損なわない形で乗務員不足に対応しようというわけだ。
平日朝に現地を訪ねると、青葉台駅前のバス乗り場には行列ができ、東急バスの職員が出て整理に当たっている。平日朝の通学時間帯には「急行」も走っており、急行バスは横浜美術大学(すみよし台)と日体大にしか停まらないので、誰でも乗れる一般路線バスでありながら、通学専用バスさながらだ。しかも車内が広い連節バスが導入されたことで、快適に通学できそうだ。
また、連節バスは扉が3箇所にあるが、起点で係員のいる時間帯かつ交通系ICカードの利用に限られるものの、全ての扉から乗車でき、混雑緩和に寄与している。
連節バスは2024年4月に3台導入され、10月に追加で3台導入される(計6台になる)予定となっている。新たに導入された連節バスには青葉台駅で乗り継げる東急田園都市線・大井町線を走る電車をイメージしたラッピングが施され、電車とバスを乗り継いで通学通勤する乗客に親しみやすそうだ。
脚注
[6] 横浜市バスネットワーク会議
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/kotsu/bus_kotsu/soukou/bnkaigi.html
[7] 戸塚区で連節バス「ツインライナー」の運行を開始します!~公民連携でバス路線の維持・充実に向けた取組を行います~(神奈川中央交通、2024年6月17日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000109612.html
[8] 横浜市青葉区北西部(青葉台駅~日体大・緑山・あかね台方面)におけるバス路線の再編について(東急バス、2024年3月12日)
https://www.tokyubus.co.jp/news/003203.html
横浜市青葉区で連節バス「タンデムライナー」の運行を開始します!~公民連携でバス路線の維持・充実に向けた取組を行います~(東急バス、2024年3月12日)
https://www.tokyubus.co.jp/news/003202.html