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早期実現性と効果の高い道路安全対策の提案 (2)

投稿日:2024年6月23日 更新日:

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②自転車と車が近接している

自転車レーンが無い場所は言うまでもありませんが、自転車レーンがあっても車のレーンと近接していることが多く、特に自転車が大型車に追い越される場合や、ふらついたり転倒した場合、接触したりひかれる危険性が高くなっています。

そして、このような路面標示に従って、多くの車の運転者は自転車と間隔を取らずに追い抜くことが正しいことであるように誤認させられています。さらに、駐車車両が自転車レーンを塞いでいることが頻繁に発生しています。

なお、海外では車で自転車を追い越す場合に、 1.5mの間隔を保つことを義務付けている国が多く、日本でも同様の間隔が推奨されていると共に、間隔が少ないことによる事故で責任を問われたり※1、自転車が転倒して車に轢かれる事故がしばしば起きています。

また、自転車用の矢羽根マークについても、自転車が車より優先であるにもかかわらず、マークの面積が明らかに小さいため、車の運転者が車が優先であるかのように誤認する、そのため自転車を自分の通行範囲に侵入してくる邪魔者のように考えてイライラしたり、間隔を開けずに強引に追い越しを行う可能性があります。また、矢羽根マークを見ても自転車と車との間隔を取る必要性を認識することは困難です。

自転車レーンを進む自転車のすぐそばを大型ダンプが通交しているところの写真です。

③横断歩道が歩行者優先であると認識しにくく、数が少ない

信号の無い横断歩道で、横断しようとする人がいるにもかかわらず車が止まらないことがありますが、この一因として、横断歩道が歩道と連続しておらず途切れ途切れに車道の中にあるので、車道の一部であると認識されることや、白線が車の進行方向に向いているため車が止まるイメージが薄いためと思われます。

また、道路交通法では、横断歩道が無くても横断禁止標識が無ければ横断可能であり、特に交差点(道路が交わる全ての場所)では歩行者優先で横断できることが明確に規定されています※2。しかし、現状では横断歩道が無いと横断してはいけないと思っている人が多く、横断者がいるのに車が止まらず強引に通過していく確率が横断歩道よりも高いと共に、車が速度を出しやすくなっています。この原因は、法規上、横断できる場所であるにもかかわらず横断歩道が無い場所が多く、歩行者が横断できるということがドライバーに認識できないためです。

④優先車の進路に非優先車が進行してくることがわかりにくい

車同士が交差・合流する場合、非優先車は優先車の進行妨害をしてはいけないことになっていますが、道路交通法で規定される「進路妨害」とは、優先車が速度又は方向を「急に」変更する場合とされています※3。つまり、優先車の直前でなければ非優先車が優先車を妨害して進行できるため、優先車は絶対的に優先というわけではないことになります。このため、優先車は非優先車が進路に入ってきたら直前でない限りは減速や停止して譲る必要があり、それを予測して走行することが求められます。そうでないと、優先車が途切れない限り非優先車は半永久的に進行できなくなり、実際においても渋滞の場合は譲り合って通行することが一般的に実施されています。

しかし、路面標示は優先車の進路だけを表示していることが一般的であるため、また、教習所等で使われる交通教則にも細かい説明が無いため※4、多くの運転者は、優先車は絶対的に優先であり、優先車の進行を少しでも妨害することはルール違反であるかのように誤解しています。そして、この誤解が優先車運転者の注意力を低下させて速度を出させたり、非優先車運転者の焦りに繋がり、対横断歩行者も含めた危険性を増大させています。

出典

※1:ロードバイクが欲しい!初心者向けナビ「自転車への側方間隔はどれくらい空けるべき?判例を検討。」
※2:社会問題をゼロから考える「横断歩道が無くても横断して良い? 法規を調べてみた」
※3:社会問題をゼロから考える「優先車を妨害していい? 重大事故が起こる一因は片方優先ルールにあった」
※4:交通の方法に関する教則 第5章 第7節 3(1)

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