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ゾーン30プラスの問題点
次に、近年一部で導入されているゾーン30プラスについて、問題点を以下に列記します。なお、ゾーン30プラスは、指定した区域内全域において車の最高速度を30km/hに制限すると共に、通過交通の抑制や、ハンプ、狭さく、シケイン等により速度抑制対策を行っている区域のことで、全国で66か所整備されています(2023年3月末時点)※5。
• 周囲への注視が特に要求される生活道路では、運転者が頻繁に速度計を確認することは困難。
• 最高速度制限を規定しても、頻繁な速度取り締まりを行わない限り、運転者に制限を遵守する動機が生じない。
• 速度30km/hは歩行者や自転車のすぐ近くや見通しの悪い場所において速過ぎるが、運転者が常に30km/hを出しても良いと誤解する可能性がある。
• 運転者がハンプに気を取られて、周囲への注意が散漫になる可能性がある。
• ハンプが無い場所(ハンプの間)では、速度を上げる可能性がある。
• 横断歩道がハンプになっていても、横断歩道が無い場所を歩行者が横断する可能性がある(違法ではない)。
• シケインや狭さくは幅が広い車以外には効果が限定的であると共に、歩行者や自転車の通行の障害になったり、車と接近するため、ある程度道路の幅がある場所に限定される。
• 車がハンプを通過する際に騒音が発生することがあるため、住民の合意が難しい。
以上の問題をまとめると、現状の道路は路面標示が交通ルール等と合致しておらず車優先になっており、ゾーン30プラスは効果が少なく、あらゆる場所に早期普及させることも難しいということになります。
出典
※5:警察庁「生活道路におけるゾーン対策「ゾーン 30」「ゾーン30プラス」の概要」