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対策案
これらの対策として、道路を交通ルール等に合致した路面標示や道路内のレイアウトにすることを提案します。つまり、歩行者・自転車優先で車は非優先、横断歩道は歩行者優先、交差点はどこでも横断可、優先車も妨害可であること等を、誰もが容易に認識できルールが自然に守られる道路です。なお、路面標示や道路内レイアウトを変更するだけであれば、比較的コストが安く、車線数を減らしたりしなければ車ユーザーの理解も得やすいため、早期に広く普及させることが可能であると考えられます。
また、このようにデザインで行動を変えさせる手法は行動デザイン(ナッジ)と呼ばれ、人間の心理的な癖を利用して行動に影響を与える手法※6として、近年様々な分野で効果を上げています。
具体例を以下に示します。
①路側帯が狭い・無い道路
道路は歩行者や自転車が優先であるので、車が通行する幅で白線を引くのではなく、歩行者と自転車が安全に通行できる幅の通行帯を優先して確保し標示します。車が双方向で通行する幅が取れない場合は中央線は消去します。これにより、車の運転者は、歩行者・自転車のための道路であることを認識し、道路中央付近を徐行して走行する可能性が高くなると考えられます。これにより、飛び出しを含む歩行者や自転車との接触の可能性が低くなると共に、接触した場合の被害も小さくなります。
なお、車が中央を走ることにより対向車との衝突の可能性は増加しますが、対歩行者や自転車の方が衝突時の人的被害が圧倒的に大きいことや、対向車を避けるために速度を落とすことになるため、総合的には確実に安全性が向上すると言えます。
②自転車通行場所
自転車レーンと車道の間に間隔を設ける方法として、植栽等の幅に余裕があれば単にレイアウトを変えるだけで実現できます。特に、中央線をゼブラゾーン等で広くしている場所も多く、この場合は路面標示を変えるだけで実現できます。なお、中央分離帯は交差点での転回が必要となり事故の危険性が増加するので、特に片側1車線では無い方が安全であると考えられます。また、自転車レーンと車道との境に柵を設置
することも、駐車車両侵入防止を含めて安全性が向上できますが、道路外への出入口部分は柵を設置できないため、間隔を確保することも併せて必要と考えられます。
次に、道路幅に余裕が無い場所でも、電柱や植栽のスペースと自転車レーンの位置を入れ替えれば、自転車レーンと車道の間隔を開けることが可能です。なお、電柱や植栽はある程度まとめて間欠的に設置できるため、間を駐輪スペースや荷捌き停車スペースとして使用することも考えられます。
自転車レーンの幅が確保できない場所についても、車道上での優先度は自転車が上位であるので、それが明確にわかるように、車道の中に自転車レーンと間隔確保のゼブラを標示すれば良いと考えられます。
出典
※6:横浜市行動 デザインチーム YBiT「行動デザインとは」