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福岡県警本部での懇談会
5月13日、昨日の雨も上がり快晴、大庭さんとともに福岡県警本部に向かいました。
事前に視察の目的や質問事項を県警にお伝えしてあるため受付はスムーズです。交通規制課との懇談までには時間があったので被害者支援・相談課に表敬訪問をさせていただきました。大庭さんは、飲酒・暴走運転の車に21歳の娘さんの命を奪われたご遺族です。以来交通事故の撲滅を求め、生命のメッセージ展(不慮の事故で亡くなった被害者の等身大の人型ボードを展示して生命の大切さを伝える)の開催や各地で講演活動を続けてきました。被害者支援・相談課では、大庭さんの被害者支援の話しとともに、私も今回の目的である歩車分離信号の必要性を少し話させていただきました。対応してくださった相談課の方々は大変好意的に話を聞いてくださいました。
交通規制課では、懇談会の担当官をしてくださった信号機係の村上課長補佐、生見係長が快く迎えてくださいました。
冒頭に本日の懇談のお願いを快諾頂いたお礼を申し上げ、自己紹介ののち事前に提出していた10項目の質問事項についてのお話を伺いました。村上課長補佐は、終始丁寧な回答してくださいました。
懇談内容を要約させていただきます。
〈懇談会での質疑〉
Q1:単路に設置された歩行者用信号のカウント法について
信号機は、交差点に対で設置されています。これを信号の1基としています。
単路には歩行者用信号が設置されていますが、
この信号も交差点の1基としてカウントしているのか否かの問いです。
私たちは1992年に息子を左折ダンプに奪われて以来、全国の信号交差点を100%人と車の流れを分けた信号に改めるよう要望してきました。その要望を始めて10年後要望の信号の安全性が認められ、歩車分離式信号という呼称で全国に普及されることになりました。2023年3月末現在、全国には207,057基の信号基があります。その内 10,185基の交差点が歩車分離信号に改善されています。しかし、普及率はまだ4.9%です。
その中で、直線道路で横断者が利用する押しボタン式の信号基は、どのようにカウントしているのか疑問でした。これが、10,185基ある歩車分離信号以外であるとすれば、歩車分離されている交差点の比率はもっと高くなります。単路にある歩行者用の信号基は、もともと歩車分離だからです。
A県警:歩行者用の信号基は、歩車分離信号とは別で「単路」としています。県内では2,300基くらい。定周期で連動されているものもありプラス1,000基くらいあります。
Q2:福岡市の信号基の数について
A県警:2023年3月末現在、信号基の数は2,162基で、内177基が歩車分離式です。市内だけの普及率は8.2%あります。
Q3:2001年の試験運用のモデル交差点は?
A県警:中央区の春吉橋・吉塚駅前の交差点です。
Q4:歩車分離信号に変えてからの対人事故の減少率は?
A県警:担当も変わり古い資料が見つからないのですが、令和四年度に4カ所に付けた半年間の結果は、歩行者1件から0件に、車同士は3件から1件に、全体で75%減となっています。
Q5:音響装置付歩車分離信号の数は?
A県警:音響付は福岡市内に185基あり、スクランブル式や歩行者専用現示式では100%設置しています。時間は朝7:00から夜9:00まで、早朝深夜は音なしになります。
Q6:歩車分離信号の市民の苦情や反応は?
A県警:昨年度は、要望がありませんでした。今年度は、スクランブルにしてほしいとの要望が11件あり、小学校前の交差点の歩車分離をやめてほしいとうのが1件ありました。
(長谷のつぶやき)
どこにでも自分の都合の事だけを考える方はいるものだなぁ
Q7:設置してからの歩車分離信号の問題は?
A県警:2002年から現在でもフライングはあります。歩車分離は事故を未然に防げますが、歩行者の待ち時間が長くなるので待ちきれずに渡ってしまう人がいる。それは今も昔も変わらないようです。
Q8:ここまで歩車分離信号群を増やしてきたのは?これまでのご苦労は?
A県警:現在の歩車分離信号は、平成23年頃から増やしてきました。福岡県は全国平均から見て普及が出遅れていると認識し、3年計画で人の多いところから200基増やそうと計画し、住民要望ではなく、警察の主導で安全を優先し進めていきました。
・住民とのの意見調整や渋滞の関係に気を使った
・押しボタンの設置では、柱のスペース設置の確保や歩道下に水道管やいろいろ埋めてあるところもあり難しいところもあります。
・今ある信号機の補修も費用が掛かります。
・今は住民の方からの要望はあまりありません。
Q9:福岡県での歩車分離信号に改善してもらいたい場合の窓口はどこになるのでしょうか?
A県警:各警察署の窓口です。交通課が担当します。
Q10:今後の設置目標については?
A県警:今年度は2か所くらい増やしていきたいと思っています。
私からは、合同庁舎前のすれ違い交差点や時差式信号を駆使して巧みに交通を制御する博多駅東の歩車分離信号など、視察後の感想などをお話しました。
また、信号無視等の対策には、単に「信号を守りましょう」だけでなく「人と車がお互いの通行時間帯を尊重する」という、歩行者とドライバー双方の立場を尊重させるルール作りが必要なのではとの意見も述べさせていただきました。
懇談の最後に、ご参考の一助にしていただければと、活動の資料を提供し、本年4月に発売されたドライバー向け教育映像、「ぼくが渡った信号は青だったよ」のDVDの視聴をお願いたしました。