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長野県上田市の「ゼロカーボン×交通まちづくり」(8)

投稿日:2024年6月18日 更新日:

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上田市の「ゼロカーボン×交通まちづくり」

そして2024年度より、『ローカル鉄道と市民がともに支え合う「ゼロカーボン×交通まちづくり」』事業が実施される。上田市、上田電鉄、NPO法人上田市民エネルギー、TicketQR、金融機関が共同提案したもので、環境省の第4回「脱炭素先行地域」に選定された[13]

別所線沿線地域の民間施設および公共施設・大学等に太陽光発電を普及させるとともに、鉄道用送電設備に自営送電線を敷設し、地域で発電した電気を別所線に供給して別所線のゼロカーボン運行を実現する。併せて別所線の増便や乗車時に使えるポイントの付与などによりマイカー依存を低減し、公共交通を軸とした拠点集約型都市構造の形成を目指す。

「ゼロカーボン×交通まちづくり」』事業の説明と図表です

上田市の『ローカル鉄道と市民がともに支え合う「ゼロカーボン×交通まちづくり」』事業概要
公式ホームページより引用
https://www.city.ueda.nagano.jp/soshiki/seikan/89115.html

 

自然エネルギーの活用による「ゼロカーボン」(脱炭素)化は分かりやすい。気候変動対策はもちろんとして、極度な円安や原発依存によるエネルギー価格の高止まりが予想される状況において、再生可能エネルギーの普及とその地産地消を進めることにより、安定した電力供給と電気料金の削減効果も期待される。

一方の「交通まちづくり」の施策がまだ漠然としている感もあるが、鉄道は利用されてこそ真価を発揮し、地域を良くする乗算が実現するだろうから、ぜひこちらにも力を入れてほしい。
栃木県宇都宮市で2023年8月に開業した芳賀・宇都宮LRT[14]では、宇都宮市が運営する一般廃棄物発電所からLRTに電力供給することで、エネルギー地産地消と都市交通の脱炭素化の先進事例として、すでに世界中から注目を集めている[15]。宇都宮市では自治体主体の取り組みだが、上田市では市民団体(NPO法人上田市民エネルギー)が共同提案者に名を連ねていることも特徴的だ。上田市の取り組みも「脱炭素先行地域」に相応しい先進的な取り組みになることが期待されよう。

【脚注・出典】

13. 上田市「脱炭素先行地域」ホームページ
https://www.city.ueda.nagano.jp/soshiki/seikan/89115.html

14. 本誌114号(2023年12月号)「ついに走り出した芳賀・宇都宮LRT」を参照
https://kuruma-toinaosu.org/wp-content/uploads/2023/12/kt114.pdf

15. 本誌115号(2024年3月号)「芳賀・宇都宮LRT(ライトライン)の開業効果」を参照
https://kuruma-toinaosu.org/wp-content/uploads/2024/03/kt115.pdf

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