「子どもが幸せに育つまち:サドルの上から見た交通」(2024年4月20日) の講演に引き続き行われた対談会への質問と応答の前半です。
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質問 私たちは、車優先でなく人優先の社会を求めて活動しているわけですが、岡田さんは車に依存した生活をしているとおっしゃいましたよね。岡田さんを責めるつもりはないのですが、そのことについて心の痛みはありませんか。
岡田さん まず、自身が交通事故の加害者になる可能性、そのリスクについてはつねに考えています。そのリスクを把握していながらなぜ運転するのかという質問と捉えさせていただきますと、自分の子どもを死なせないことが一番の目的だからです、との回答になります。子どもは絶対に死なせたくない。しかしいまの環境で子どもを自由に歩かせれば自動車に潰されて死んでしまう光景が容易に想像できますから、それだけは避けたいという強い思いで車に乗っています。もちろんそれで罪悪感や問題意識が消えてなくなるわけではありませんので、この会での活動に情熱を燃やしているところです。
宮田さん いまの話につながるのですが、少し前にSNSで、送迎の車が列を作っているオランダの学校の前の動画が話題になりました。あれほど自転車利用環境のよい国も、局所的に環境の整っていないところがあると、子どもを守るために車を使おう、となって、同じ考えの親が増えて軍拡競争のようになるんですね。車依存に絡め取られるのがいかに簡単かというお話でした。
質問 いまお住まいの豊橋からご実家のある岐阜まで車で移動されるとのことでしたが、名鉄でしたらさほど混んでおらず必ず座れますし、それほどストレスがないように思います。逆に車ですとまわりが煽ってきたり、いろいろプレッシャーもあると思うのですが。
岡田さん そうですね、名鉄ですと豊橋から岐阜は始発駅から終点まで行くのでだいたい座れますし、指定席もあります。私も子どもが生まれるまでは、妊娠中も含めてかならず電車を利用していました。いまでも上の子ひとりだけ連れているときは電車を使うことがあります。ご自身は小さな子ども連れで電車で移動はされたことがありますか?
質問 親戚の子どもと乗ったりしたことはありますが、いくら騒いでもそれほど気にはならないです。
岡田さん そうなんですね。子どもが騒ぐのが気にならないというのは、もちろんご自身の気の持ちようもありますが、男性であることが大きいかもしれません。母親が子どもを連れていて、その子どもが周囲を不快にさせる行動をとると、しつけがなっていない、と攻撃的な視線や言葉を向けられることがよくあります。私自身も何度も経験しましたし、もしその攻撃が子どもに向けられたらと思うと気が気ではありません。もちろん高速道路で2時間運転することも、なにかひとつ失敗したら死ぬかもという恐怖と戦いながらですので、非常にストレスフルなのですが、子どもを自分の目の届くところにずっと置いておけて、他者が侵入してくることもありません。そういったことを天秤にかけて、車移動を選択しています。
意見 私は20年以上前から会員ですが、子どもが大きくなったらマイカーを捨てました。 いまは息子が孫をつれて車で遊びにきますが、それを責める気はありません。彼もいつかは車を捨てるのかもしれませんが、小さい子どもがいるうちは、車なんてやめろよとはとても言えないです。
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質疑応答