会の活動 活動記録

対談 ( 3 ) テーマ1「自転車 × 子ども」E ~ F

投稿日:

「子どもが幸せに育つまち:サドルの上から見た交通」(2024年4月20日) の講演に続いて行われた対談会のうち、テーマ1「自転車×子ども」の後半です。

< 前へ  ||  1  |   2   |   3   |   4  |   5   |  6  |  7   ||  次へ >

E. 「銃撃をやめさせる立場の者たちによる防弾チョッキ推進運動」

岡田さん  自転車に乗るときにはヘルメットをかぶりなさいとさかんに言われていますが、これについては宮田さんの著書に登場する「銃撃をやめさせる立場の者たちによる防弾チョッキ推進運動」という表現がぴったりだと思います。

宮田さん  これを言ったのは元自転車選手でオリンピック金メダリストのクリス・ボードマン氏で、今はイギリスのアクティブ交通推進機関の初代長官になりました。政府の仕事は銃撃、つまりは自動車の危険を減らすことなのに、それをせずに防弾チョッキならぬヘルメットにかまけているとは何事だと。それにヘルメットを強制すれば、アクティブ交通から人が離れてかえって自動車が増えることになる、そういった発言です。
下の図は、危険要素をコントロールする方法を効果の高い順に上から並べた図を、自転車利用環境にあてはめたものです。もっとも効果が高いのは危険源の除去、つまり道路のカーフリー化や通過交通の遮断などです。次が危険源のより安全なものへの置き換え、そして真ん中にある工学的分離が、構造物で区切られた自転車レーン、自転車道に相当します。自転車道は見た目にも分かりやすく実際にも重要な存在ですが、カーフリー化でクルマの脅威がなくなれば不要です。そしていちばん効果が低いのが個人用防護具、つまりヘルメットです。個々人がメリット・デメリットを考慮した上で自転車+ヘルメットを選ぶならそれはいいことですが、もっと効果の高い対策をとるべき立場の人たちが、傷つけられる立場の人に、効果の低いこと、車利用を増やす原因にもなることをやりなさいと言うのはおかしいですよね。

カーフリー化からヘルメット着用まで、自転車の安全対策の段階を示した図

『世界に学ぶ自転車都市のつくりかた』9章
設計カタログ:これからの自転車通行空間デザイン より

 

岡田さん  私は産業医の仕事もしているのですが、産業安全の世界でもこの優先づけは常識です。それなのに交通安全の世界にはまったく広まっていないのは残念です。

F. 教育はどうあるべきなのか

宮田さん  みなさんにおすすめしたい文章があります。臨床心理士の村中直人さんによる、「『叱る』の限界と依存性について」です。人間って叱ることが好きなので簡単にクセになっちゃいますし、叱られた方はその場で怒られないようにすることしか考えなくなるので、どちらにとってもよくない方法ですよね、という話です。交通に関しては、どの立場でもこういうことばかりやってしまっているのではないでしょうか。

 

スマホでゲーム「マインクラフト」をプレイしているところの写真

子どもがスマホで遊んでいるこのゲームは「マインクラフト」といって積み木遊びの手が込んだやつなのですが、カナダの団体がこれを使って交通安全学習をやってみたそうです。どうすれば道路が安全になるか、こんなふうに大人と子どもがいっしょに考えることがすごく大事です。写真は、横断歩道を安全にする方法として、レバーを倒すとまわりに壁ができるようにしたよ、と見せてくれているところ。

 

< 前へ  ||  1  |   2   |   3   |   4  |   5   |  6  |  7   ||  次へ >

 テーマ1「自転車 × 子ども」

テーマ2 「自転車 × ジェンダー」

テーマ「自転車×幸福で豊かな生活」

質疑応答

 

講演「子どもが幸せに育つまち:サドルの上から見た交通」

 

-会の活動, 活動記録

Copyright© クルマ社会を問い直す会 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.